大腸菌スーパーバグ:トイレの後で手洗いしない不潔さが、感染拡大! (BBC-Health, October 23, 2019)
大腸菌 (Escharichia coil/E. coil)の異種株 (strains)は多数。そのほとんどは「harmless (無害)」だ。しかし、敗血症 (blood poisoning)、尿路感染症 (urinary tract infections)や、O11, O157のように食中毒を引き起こす大腸菌が知られている。
大腸菌感染症の治療に当たって、安易な抗生物質の投与は危険だ。
しかし、その抗生物質の効かない大腸菌ESBL-E.coliの感染が、世界中に広がっている。
なんと、この大腸菌は特別な酵素「Extended Spectrum Beta-Lactamases (基質拡張型β-ラクタマーゼ ESBLs)を持っていて、これで「penicillin (ペニシリン系)」、「cephalosporin (セファロスポリン系)」の抗生物質を破壊してしまうのだ。
こんな恐ろしい大腸菌が、どうやって感染を広めているのか。
East Angle大学「Norwich Medical School」の David Livermore教授らの研究チームは、この大腸菌の感染ルートを追跡する大規模な調査を実施した。
検査の対象になったのは、採便 (faecal samples) 20,000、血液サンプル採血300。それに、多数の箇所で採取した下水 (sewage)、家畜の糞尿 (animal slurry)、各種肉類、フルーツ・サラダなど。
その結果、人の検便サンプル(採便)のほとんどから、ESBL-E.coliの1種ST131が見つかった。この菌は「尿路感染症 (urinary tract infections)」を皮切りに、重篤な感染症を引き起こす大腸菌だ。
なお、肉類や動物の糞尿からは、同種の株菌は発見されなかった。
このことから、抗生物質耐性大腸菌ST131は人から人に直接感染して、これを拡大させている可能性が強まった。とくに「care home (介護施設)」の高齢者の間に、深刻な大腸菌の感染が広がっているという。
さて、その感染防止対策だ。次の3点が重要。
1.トイレの後は、手洗いを十分に
2.介護施設は特に清潔に
3.不適切な抗生物質の投与を避ける
(写真は添付のBBC Newsから引用)