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Britain島のウェールズ:WelshのIdentity(自己認識)とPride(矜恃) (BBC-News, October 19, 2019)

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 「自分は何者か(Who or What I am.)」。この答えを求める衝動が「identity」。この英語はラテン語「idem(sameの意)」に由来する。
 「性同一性障害 (gender identity disorder)」のように、自分の存在に迷いが生じるものもある。

 さて、イギリスUKは、独立した自治政府を有する 4つの国 England, Scotland, Wales, Northern Irelandから構成される連合国だ。その 4つの国で、語尾が「-land」で終わらない国は「Wales」のみ。
 古代ローマ帝国の駐留軍が、AD410年Englandを去ると、これを待ち兼ねていたかのようにAnglo (アングロ人)、Saxon (サクソン人)が Englandを占拠する。それ以来、そこに住んでいた「British Celts」を、侵略者の自分たちとは違う民族すなわち「Wealas (よそ者、外国人)」と蔑(さげす)み、差別し、そのほとんどのケルトの民を Englandの西方の、山間 (やまあい)の不毛の地に追いやった。この、おぞましい歴史の「Wealas」が「Wales」、「Welsh」の語源だ。

 人は矜恃 (pride)、アイデンティティ (identity)、そして国語・歴史文化を失っては、背筋を伸ばして生きて行けない。

 では、Walesの地で、今「Welshness (ウェールズらしさ)」とは、いったい何だろうか。春早く野山を埋め尽くす「daffodils (水仙)」、それとも「The anthern (ウェールズ国歌)」か、生活に溶け込んだ「singing (歌)」、あるいは「The dragon (国旗に描かれた赤いドラゴンの紋章)」。それに、日本の「お焼き」に似た「Welshcakes (ウェールズケーキ)」もよく知られている。

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 しかし、なんと言っても、民族の「identity」を明確に特徴づけるのは、その民族固有の「language (言語)」にあるはずだ。
 Bangor大学で中世史を研究する Dr Rebecca Thomasによると、ウェールズWelshの「identity」が高まったのは 9-10世紀。12世紀の「Latin chronicles (ラテン語年代記)」には、「British Celts」の祖先はエーゲ海沿岸の古代都市「Troy」に住んでいた「Tyoyans (トロイア人)」との記述が認められると言う。

 また、St Davids (セントディヴィズ) の修道士「Asser」は、AD893年の著書の中で、古代「マーシア王国 (Mercia)」の王Offaが、MerciaとBritanniaとの間に、海と海をつなぐ「dyke (掘割り)」を築いたと伝える。王Offaにとって、BritanniaとはWalesのことであった。

 なお Gwynedd (グウィネズ)の学者Nennius (ネンニウス)は、その著書「Histria Brittonum」に現われる地名を英語とWelsh (ウェーズ語)で記述し、Welshは「our language (我々の言語) 」と述べたとされる。

おわりに:心なしか、「Wales (ウェールズ)」はBritainの地図上にあって、西方に押しやられ、形見が狭い思いをしているように見受けられる。そこには、まるで古代の日本列島の蝦夷地のように差別され、疎(うと)まれてきた歴史がある。現代にあっても、貧困・暴力、失業などの社会問題に苦しみ、Wales自治政府の経済力・外交力も弱い。
 ケルトの民に心から声援を送りたい。

                   (写真は添付のBBC Newsから引用)

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