鳩の糞 (フン)は病原菌だらけ：感染した子どもが死亡！ (BBC-Health, January 22, 2019)

　鳩(ハト)はハトでも、「doves (山鳩)」と「pigeons (伝書鳩)」では、まったく違う。
　山鳩は、古来より「八幡様の使い」として崇められた。西洋でも「doves」は、神あるはゼウスの神託を伝える使者として、あるいは「平和と調和 (peace & harmony)」の象徴として人びとに親しまれた。

　ところが、飽きっぽい人間に見捨てられて野生化し、街中をうろつくようになった「pigeons」。体は「doves」よりも一回り大きく、ほとんど人間を無視し、ケバケバした羽を誇らしげに、ズカズカと、どこにでも入り込む。まるで、ゆすり、たかり、オレオレ詐欺グループの「hooligans (チンピラ)」。古い言葉で「愚連隊」。どうにも始末が悪い。街の嫌われものだ。
　「盗っ人にも三分の理」。「pigeons」にだって言い分はあるだろう。「オレたちは街の掃除屋だ。心ない人間どもが、路上・公園に散らかした食べ屑を拾っているだけだ」と。
　そして、ところ構わず、「droppings (糞)」を撒き散らす。

　しかし、この「pigeon poo (ハトの糞)」。実は、すこぶる危険。これを夏の猛暑時に車の上に落とされると、塗装が痛む。また、教会･寺社、地面に落ちた「droppings」には、担子菌の1種「Cryptococcus (クリプトコックス菌)」や「Salmonella (サルモネラ菌)」がウジャウジャ。これらの菌は、汚染された土壌･水から人に感染するが、鼻や口から吸い込まれて (空気感染で)も、それぞれ「Cryptococcus infections (クリプトコックス感染症)」、「Salmonella infections (サルモネラ感染症)」を引き起こす。

　健康な人は、めったに、これらの感染症を発症することはないとされるが、抵抗力の弱い高齢者や子ども、それにHIV (エイズウイルス)保菌者やガンに罹患し、免疫力が弱っている人には、極めて危険だ。とくに、「Cryptococcus (クリプトコックス菌)」は、インフルエンザによく似た症状の「psittacosis (オーム病)」の他に､「chest infections (肺感染症)」や「meningitis (髄膜炎)」を引き起こすこともある。

　だから、ハトの糞を、たかが鳥のフンなどと、侮 (あなど)ってはいけない。
　ScotlandのGlasgowにある「The Queen Elizabeth University Hospital」に入院していた子どもが、この「Cryptococcus infections (クリプトコックス感染症)」を発症し、昨年の12月に死亡した。
　専門家の調査によると、ハトのフンでいっぱいの、病院の屋根から、目に見えないほど小さな壁の隙間を通って、「Cryptococcus (クリプトコックス菌)」が子どもの病室に侵入し、子どもの命を奪ったと考えられるという。

　したがって、街中の「pigeons (伝書鳩)」の群れには、できるだけ近づかない方が賢明だ。万一、鳥のフンが手や服に付いたときは、十分に注意して洗浄すること。
　　　　　　　　　　　　　　　　　 (写真は添付のBBC Newsから引用）