末期 乳ガンの革新的な治療法:キラーT細胞の培養・注入で完治! (BBC-Health, June 4, 2018)
ほとんど生きる望みを絶たれた人が、その命を取り戻す。そんな夢のようなことが現実になった。これまでのガン治療の考え方をガラリと変える、全く新しい治療法が開発されたのだ。
Ms Judy Perkins (49歳)は、末期の「進行性乳ガン (advanced breast cancer)」に冒され、医者に余命3ヶ月と宣告されていた。肝臓にはテニスボール大の腫瘍ができ、ガンは全身に転移して、従来の治療法では処置なしと言われた。
それが、「The US National Cancer Institute (米国立ガン研究所)」のDr Steven Rosenbergらの研究グループが開発した「pioneering new therapy (先駆的な新治療法)」によって完璧な健康を取り戻した。
その治療は「敵を知ることから (to know the enemy)」から始まる。
1.ガン腫瘍を分析し、その細胞変異の特殊性を明確にして、免疫システムの攻撃目標を定める。
2.Ms Perkinsの乳ガンでは、64ヶの「遺伝子異常 (genetic abnormalities)」が見つかった。その内の4ヶがガンのアキレス腱として攻撃目標となった。
3.次は、患者の免疫システムを高めること。患者から採取した白血球細胞をスクリーグに掛け、ガンを攻撃する細胞 (キラーT細胞)だけを抽出する。
4.これを研究室で培養し、薬で免疫システムのブレーキを外しつつ、患者の体内にキラーT細胞を戻してやる。Ms Perkinsには約900億個のキラーT細胞が注入された。
Ms Perkinsは、この治療を受けると、1週間で胸のシコリが小さくなり、さらに1,2週間経つと、そのシコリも完全になくなったように感じたという。実際、2年後に、乳ガンは、体からきれいに消えた。
今では背中にリュックを背負い、カヤックを漕いだり、カヌーでフロリダ半島を周航する旅を楽しんでいるそうだ。
Dr Rosenbergによると、この治療法はまだ実験段階。しかし、乳ガンの治療以外にも適用できる可能性があるという。
これまでのガン治療の常識を根本的にくつがえす医療技術革新が起きているのだ。
なお、研究の詳細は、医学雑誌「Nature Medicine」に発表された。
(写真は添付のBBC Newsから引用)