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皮膚を若返らせることに成功:不老長寿の薬も夢ではなくなった! (BBC-Science, Apr 8, 2022)

Rejuvenated skin cell

 クローン羊がこの世に現われたのは、今から26年前の1996年7月のことだ。Edinburgh大学の「Roslin Insitute (ロスリン研究所)」が、メスの羊の乳腺細胞 (mammry gland cells)を卵子に移植した胚細胞 (embryo)からクローン羊「Dolly (ドーリー)」を世界ではじめて誕生させることに成功したのだ。 

 

 しかし、当時、ロスリン研究所の本来の目的は、クローンをつくることではなく、「ヒトES細胞 (human enbryo stem cells)」から筋肉・軟骨組織や神経細胞をつくって再生医療に役立てることにあったという。

 その後、ES細胞の培養・増殖技術は、京都大学の山中教授のIPS細胞 (人工多能性幹細胞)の発見によって格段に進歩した。

 

 さて、「Babraham Institute (バブラハム研究所)」 の Wolf Reik教授らの研究チームは、53歳の女性の皮膚を使って、クローン技術と IPS細胞培養技術を組み合わせた新たな細胞増殖技術の開発を進めていた。

 その IPS細胞を培養する過程で、通常の培養期間50日を12日に短縮して、細胞変化を確認したところ、皮膚細胞はES細胞に変換せずに、なんと23歳の若さの肌の細胞に「若返り (rejuvenation)」していたのだ。(研究結果の詳細は「eLife」に発表。)Dolly the sheep

 Reik教授らの研究は、ほんの初期段階ではあるが、その成果は革新的だ。傷や火傷を負った皮膚の治療に活用できる他に、将来は「human health span (人類の健康寿命)」の延長も可能になるのでは、と期待されている。

 

 さらに、免疫細胞 (immune ceslls)を若返りさせることができるなら、ウイルス感染に対する抵抗力、ウイルス抗体を強化することになり、不老長寿の薬 (elixir of youth)も夢ではなくなる。

 すでに、遺伝子改変マウス (genetically modified mice)では、膵臓 (pancreas)

の若返りに成功し、糖尿病の再生医療に道を開いている。

 

 しかし、「The Francis  Crick Institute (フランシス・クリック研究所)」の Robin Lovell-Badge教授によると、IPS細胞が再生医療の臨床現場に使用されたり、若返りの薬が開発されるのは、まだまだ先のことだという。第一に、細胞の培養中のコントロールが極めて難しい。それに再生医療には莫大なコストが必要だ。したがって、現時点で、若返り (rejuvenation)とは、まったくの妄想 (pure speculation)としか思えない。

                       (写真は添付のBBC-Newから引用)

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