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エベレスト氷河から「こんにちは」:ただ今、気候変動調査中! (BBC-News, June 28, 2017)

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 毎日、蒸し暑さが続くこの季節、涼しいトピックスをお一つ、どうぞ。

 「氷河 (glacier)」は、氷 (ice) の河 (river) なのに、どうして「ice-river」としないのか。
 それは、フランス語の「氷 (glace)」の語源となったラテン語「glacies (英語 iceの意)」が使用されているためだ。
 CODによると、「glacier」とは

"A slowly-moving mass of ice formed by the accumulation and compression of snow on mountains or near the poles."
[ 高山や極地地帯に降り積もった雪が圧縮され、氷塊となってゆっくりと流れ下るもの。]

 しかし地球温暖化に伴って、ヨーロッパ、北アメリカの名だたる氷河は縮小し、また、場所によっては、氷河の移動速度が速くなっている。問題なのは、山崩れなどが引き金となって氷河の途中にできた氷河湖 (dams and lakes) だ。突然、決壊 (flash flooding) し、下流の集落に甚大な被害をもたらすこともある。

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 そこで、Wales の Aberystwyth (アベリストウィス) 大学の Bryn Hubbard 教授らの研究グループは、Leeds大学と共同でエベレストの氷河の調査に乗り出した。
 場所はエベレストの標高 5,000mの地点。そこはエベレスト登山者の登頂ルートにある「Khumbu glacier (カンブ氷河)」の上だ。調査の目的は、氷河にボーリングし、その深い孔の中に 360度カメラを設置して、氷河の「internal structure (内部構造)」とその動きを計測することにある。Hubbard 教授は次のように説明する。

"Understanding what actually happens inside these glaciers is critical to developing computer models of their response to anticipated climate change."
"Equally important is developing a better understanding of how they flow so that we can better predict when dams that form on these glaciers are likely to be breached, releasing life-threatening volumes of water to the valleys below."

[ 今後予想される気候変動によって、氷河にどのような変化が現われるのかを解析するために、コンピュータモデルの構築を目指しているが、それには、エベレストで実際、何が起きているのかを把握することが欠かせない。]
[ また、同時に、氷河の流れの様子がよく分かれば、氷河に形成される自然ダム湖がいつ決壊するのかを正確に予測できるようになる。ダム湖によって付近一帯の谷底には膨大な水量が蓄えられ、下流に住む住民の脅威となっている。]
                 (写真は添付のBBC Newsから引用。)

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インフルエンザ・ワクチン:これは楽チン、パッチで張るだけ! (BBC-Health, June 28, 2017)

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 この病気は1743年、イタリアで大流行し、またたく間にヨーロッパ全土に広まった。インフルエンザ (influenza) のことだ。単に「flue」とも呼ばれる。もともと「influenza」とは、イタリア語で「epidemics (流行病)の突発」を意味したが、このときの flueの大流行のお陰で、すっかり英語の「病気の名前」になってしまった。

 日本では、毎年、約1,000万人が感染し、「complications (合併症)」で亡くなる人を含めると、その感染死亡者は約 1万人と推定されている。イギリスでも例年600人、USでは約数万人が命を落とす怖い病気 (disease) だ。
 例年、雪が降り始めるころになると、その予防接種が勧められる。しかし、病院に出かけて、そこで「flue」の病原菌に感染しかねない。また、あの注射を腕に打つと、その後数日、赤く腫れて、痒みを伴うこともある。

 ところが、その注射もやがて消えそうだ。絆創膏のように、パッチを手に張るだけの、インフルエンザ・ワクチンが開発されたのだ。開発に当たったのは、「Georgia Institute of Technology (ジョージア工科大学)」の Mark Prausnitz 教授と「Emory University (エモリー大学)」の Nadine Rouphael 准教授らの研究グループ。
 ワクチン・パッチは sucrose (スクロース) と polyvinyl alcohol (ポリビニルアルコール) で作られていて、その表面に 1 mm以下の極微針 (micro-needles) 100本が埋め込まれている。これを腕に 20分間張り付けるだけで、ワクチン接種 (flue jab) は完了。痛みはほとんどなし。

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 このワクチンの特徴は、40℃の場所で1年間の保管が可能、したがって保管用の冷蔵庫は必要ない。さらに安価で製造でき、注射針のような医療廃棄物を出さない。パッチの極微針は自然に分解するため、使用後はゴミ箱 (bins) にそのまま捨てることができる。
 子どもでなくとも、誰でも注射は嫌いだ。Dr Rouphael が語るように、メールで注文し、家庭やオフィスで気軽にワクチン・パッチを張る日が来るのも夢ではなくなった。

 ワクチン・パッチの安全性を確認する臨床試験は、ボランティア 100人の協力を得て実施され、一部の被験者に「tenderness (圧痛)」が見られたが、数日でそれも消えたという。
 「adverse events (有害事象)」や「antibody response (抗体反応)」も認められず、ワクチンの効果は、従来の「needle-and-syringe methods (皮下注射針接種)」と同じ。
 なお、この研究結果の詳細は、医学雑誌「Lancet」に発表された。

 ただし、残念なことに、このパッチが一般に出回るまでには、まだ4,5年は掛かる臨床試験が必要とのこと。

 この一文をまとめるに当たって「the guardian」の次の記事も参考にした。BBC同様、そのリポート力はずば抜けている。
Dissolvable patch offers radical pain-free alternative to flue injection, study finds. June 27, 2017

                 (写真は添付のBBC Newsから引用。)

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試験のカンニング:ウェールズの大学で追いつけず!(BBC-News, June 26, 2017)

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 不正 (malpractice) は、得てして、暗闇に隠れがちだ。姿を現わしても、目に見える部分は「the tip of an iceberg (氷山の一角)」の 9%より遙かに小さい。ひとまず、ここでは学生の不正行為、カンニング (cheating) に焦点を絞りたい。

 学生たちのコンパの席では、ほとんど「マジッ」と「ウッソー」の 2語があれば、何とか会話が盛り上がる。公共放送のご機嫌取り番組とて、大して変わりはない。
 使用される語彙が極めて限られていて、表現力が乏しい。これでは文脈の明晰な文章もレポート・論文も、とても書けまい。事情は、イギリスでも同じであろうか。

 学生が授業に出ても、その目はスマートフォン上にある。時折、黒板をのぞき込んで、授業の進み具合を確かめると、スマートフォンで、板書の内容をパチリと写し取る。そんな光景も、まれではなくなった。
 当然、試験になっても、頭の中には、授業で学び、自ら予習・復習した内容が入力されていない。つまり「からっぽ」だ。そもそも、授業で「思考」が欠如し、情報・知識はスマートフォンの中に入力されている。それに、試験問題の答えは、ネット上で探すと、幾らでも見つかる。

 さて、「BBC Radio Wales」は、Wales の 8大学に対して「Freedom of Information (情報公開)」請求を行ない、2013年度から 2015年度の 3年間に限って、試験における学生の「alleged cheating (カンニング疑惑)」のデータを集計した。
 その結果、試験中に「不正行為の疑いあり」として摘発された学生の数は、3年間で50 %も増えていることが判明した。
 学生の中には、£100,000(約1,420万円)の借金(debt)に追い込められて、カンニングに走った学生もいた。

 以下は、具体的なカンニング実態調査の結果だ。

             University                           不正疑惑   試験資格停止      学生数   
・University of South Wales                   1,144    2         30,000
・Cardiff Metropolitan University              565     12                   10,500
・University of Wales Trinity Saint David 928             47                   11,000
・Bangor University                                     36               4                   10,000
・Cardiff University                                    713              3                    30,000
・Swansea University                             1,157            25                    20,000
・Wrexham Glyndwr University                 103              3                     6,000
・Aberystwyth University                            581             0                    10,000

 大学の試験で、カンニングが横行するのは、若ものの「copy & pasting」文化が背景にあるという。学生がスマートフォンを駆使して、何とか試験を乗り切ろうとする行動に対して、大学は、その情報技術 (technology)に「caught on the back foot (追いつけない)」でいるのだ。
 「University of South Wales」の Dr Mike Reddy は次のように語る。

"In some ways we're still assessing in a very 19th Century way, 'write an essay,, write a report' and yet people coming up now have never lived without the internet."

[ 大学では今でも19世紀の風潮が残り、学生に「エッセイを書かせ」、「レポートを書かせ」て評価する方法が採用されている。しかし、大学に入ってくる若ものと言えば、インターネットなしで生活したことがない人ばかりだ。]

 このような学生を相手に、講義を行なうことは難しくなっていると言う。
 大学を優秀な成績で卒業したからと言って、その裏には「copy & pasting」のテクニックがあり、試験をすり抜ける「要領」だけが習得されては、学位の資格が台無しだ。

 Wales政府広報官が指摘するように、

"Cheating of any kind is not acceptable and pose a threat to standards at our universities as well as individuals and employer's confidence in the validity of qualifications gained."

[ いかなるカンニングも許されるものではない。それは卒業生およびこれを採用した企業側の信頼を危うくし、大学のアカデミック基準を脅かすものだ。]

 しかし、もっと悪いことは、大学の「academic integrity (アカデミックな誠実さ)」が汚れて、大学から、消え行くことだ。

 Dr Mike Reddy は、学生の不正行為に対する大学の「注意義務 (duty of care)」を強調するが、学生の試験結果を採点する教育者の「誠実」と「責任」にも問題がある。学生の書いた解答用紙を長期間保管し、情報公開の求めに応じることのできる高校、大学が日本にはあるだろうか。

 BBCが提起する教育問題は、日本にとっても「extremely seriously (極めて深刻だ)」。

 

                 (写真は添付のBBC Newsから引用。)

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悪玉コレステロール・ワクチン:まもなく登場か? (BBC-Health, June 20, 2017)

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 このところ、誰でも耳にするようになったコレステロール (cholesterol)。この有機化合物は「cholotith (胆石)」から発見されたため、ギリシャ語「khole」由来の「chole: bile [胆汁]」と「stereos: stiff [固まり] を結びつけて、この名前で呼ばれるようになった。直訳すると「胆汁の固まり」となる。
 コレステロールには悪玉のLDLと善玉の「HDL (high density lipoprotein 高比重リポ蛋白) cholesterol があることもよく知られている。LDL 値が高いと動脈の内壁にプラークをつくり、動脈閉塞 (arteries clogging) の元凶となるため、悪玉と呼ばれ、一方の HDLは、血液中の余分な LDL を肝臓に運んで始末してくれるで、善玉と呼ばれる。

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 遺伝的に LDL が高い家系もあり、「familial hypercholesterolaemia (家族性高コレステロール血症)」を示す人もいる。
 しかし、一般に LDL を高める要因は、つぎのとおり。

・poor diet:不健全な食生活(高脂肪食品の食べ過ぎなど)
・high alcoholic consumption:お酒の飲み過ぎ
・smoking:タバコ
・inactivity:運動不足

 血液検査で「 LDL要注意」と判定される人も少なくない。しかし、薬に頼らすとも、生活スタイルに注意し、料理にオリーブオイルを使うことで、正常値に戻すことは十分可能だ。にもかかわらず関わらず、人間は生来、横着にできているのか、それとも医者に脅されるためか不明だが、LDL が高いとすぐに「cholesterol-lowering drugs (コレステロール低下薬)」の「stetins (スタチン)」に頼ってしまう。

"But although these are very cheap and effective, they will not worl for everyone."
"Some people dislike taking daily medication or forget to take it because they are feeling well. Rarely, there can be side-effects."

[ ところで、スタイン系の薬(商品名:リパロ、リピトール、メパロチンなど)は、それほど値段が高くもなく、効き目もある。しかし、誰にでも効果があるわけではない。]
[ 毎日飲むのが嫌いな人もいれば、体の調子が良いからと、薬を飲み忘れてしまう人もいる。また、まれに、副作用(腹痛、発疹、倦怠感など)が現われることもある。]

 そこでオーストリアのバイオテク会社「AFFiRis」は「cholesterol-lowering vaccine (コレステロール低下ワクチン)」の「ATo4A」を開発した。開発研究は Dr Gunther Staffler を中心に進められた。
 マウスを使った動物実験では、悪玉コレステロール LDL を 12ヶ月間で 50%も低下させることに成功した。

このワクチンは体の免疫システムを強化する働きがあり、酵素 (enzyme)「PCSK9」を攻撃し、血液中に悪玉コレステロールがつくれないようにする。基本的には「免疫療法治療 (immunotherapy treatments)」と同じだ。
 なお、研究の詳細は「European Heart Journal」に掲載された。

 現在、ボランティア 72名の協力を得て、オーストリア「The Medical University of Vienna (ウイーン医科大学)」の研究者が臨床試験「Phase 1」を実施し、ワクチンの安全性(safety)を確認中だ。
 ワクチンの接種で LDLを低く抑えることができれば、stroke (脳卒中), angina (狭心症), heart attacks (心臓発作) の発症リスクを大幅に下げることができるという。

 さて、その治験の結果は年末までに出揃う予定。今後、ワクチンの実用化に漕ぎ付くまでには、大規模臨床試験が必要とされる。

 しかし、やがて、インフルエンザ・ワクチンのように ATo4A ワクチンが使われる日も、それほど遠くはないと思われる。これは多くの人にとって、歓迎される先端医療に違いない。ただし、スタチン系薬の製薬会社は大変な打撃を受けるはずだ。

 なお、この一文をまとめるに当たっては、下記の「the guardian」記事も参考にした。
・Cholesterol-lowering vaccine jab to stop heart attacks could be close、June 20, 2017

                 (写真は添付のBBC Newsから引用。)

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プリサイス・メディスン最前線:ガン細胞DNA検査で死亡率激減 (BBC-Health, June 19, 2017)

 

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 ガン治療の最先端技術は、ガン患者のDNAを調べ、個々の患者に最適な治療薬を投与する「プリサイス・メディスン (Precise medicine) [精密医療]」だ。
 現在、「進行した前立腺ガン(advanced prostate cancer)」には、変異した細胞だけを攻撃する分子治療薬 (targeted drugs)として「olaparib (オラパリブ)」が使用される。
 ただし、残念ながら、この薬は全ての前立腺ガン患者に効くわけではない。

 そこで、「The Institute of Cancer Research, ICR (ロンドン大学ガン研究所)」のJohann de Bono 教授らの研究チームは「Royal Marsden NHS Foundation Trust (王立マースデン NHS 基金トラスト)」と共同で、血液中のガン細胞 DNA (cancer DNA) を検出し、これ分析する「three-in-one blood test (三位一体血液検査法)」を開発した。

 進行した前立腺ガン患者 49名に対し、薬効を評価する「phase II clinical trial (フェイズ II 臨床試験)」の一環として、この血液分析を行なった。
 その結果、ガン患者の生存率 (survival rate) は飛躍的に改善 (greatly improved) したという。

 この新血液検査 (blood test) は低コストで簡単 (cheep and simple)。しかし、その目的は次の 3 点にある。

1.患者に対して分子治療薬「olaparib(オラパリブ)」が適正か:to identify
2.ガンが進化し、薬に対する抵抗力を付けていないか:to check
3.長期的なガンのモニタリング: to monitor

 血液中のガン細胞の DNA を分析することによって、前立腺ガン患者は、自分の最も適した治療法を、最高のタイミングで受けることができるようになった。抗がん剤が不適当と分かれば、すぐに治療法を変えることができるため、「precision medicine」の精度が格段に進歩したと言える。

"But larger studies involving more men needed to take pale to confirm if doctors could rely on the test ."
[ しかし、この検査法の信頼度を確実にするためには、さらに大規模な研究が必要。]

  研究の詳細は 6月 19日発行の医学雑誌「Cancer Discovery」に発表された。

 なお、「Report writing skills」、「最先端医療」に興味のある方には、次の「the guardian」の記事の一読を勧める。
「Prostate cancer blood test could transform treatment, say scientist」

                 (写真は添付のBBC Newsから引用。)

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神経細胞が死滅するパーキンソン病:その原因は腸内細菌! (BBC-Health, Dec 2, 2016)

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 BBCはなぜか、ここに 6ヶ月前の医療トピックスを取り上た。しかし、その内容はすばらしい。
 脳内の神経細胞を徐々に死滅させ、手の震え (tremor)や歩行・運動機能障害 (difficulty moving) を引き起こす「Parkinson's disease (パーキンソン病)」。原因は不明だ。現在のところ、不治の病 (incurable disease) の一つとされる。

 ところが、その「原因発見の瞬間 (eureka moment)」が「California Institute of Technology (カリフォルニア工科大学)」の Dr Timothy Sampson らの研究チームにやって来た。
 なんと、人の脳の神経細胞をオーバーヒートさせ、次々に壊していたのは、腸内細菌 (gut bacteria) だった。

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 Dr Sampson らは、タンパク質「α-シヌクレイン (alpha-synuclein)」のレベルを高めた遺伝子学的にまったく同じマウスをつくり、これを使って動物実験を実施した。
 すると、パーキンソン病患者から採取した腸内細菌をマウスに注入すると、無菌のマウス (sterile mice) では発症しないパーキンソン病を発症したという。なお、研究結果の詳細は、医学雑誌「Cell」に発表された。

"Scientists believe the bacteria are releasing chemicals that over-activate parts of the brain, leading to damage."
[ 研究者らは、腸内細菌が化学物質を分泌し、それが脳内の免疫細胞ミクログリアを過剰に活性化させて、神経細胞のダメージを引き起こしていると考えている。]

 したがって、パーキンソン病と同様に、原因不明とされる「neurodegenerative disease (神経変成疾患)」も「腸内微生物叢 (gut microbiome)」が関与している可能性が浮上した。

"The trillions of bacteria that live in the gut are hugely important to health, so wiping them out completely is not an option."
[ とは言え、腸内には数兆ヶの細菌が住み付き、健康にとって極めて重要な役割を果たしている。したがって、この腸内細菌を全て取り除くことは現実的な治療法ではない。] 
 それでは、どうするか。
 今後は、「digestive system (消化系)」に目を向けた「revolutional treatment (革新的な治療法」の開発が期待される。
                 (写真は添付のBBC Newsから引用。)

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引っ張り歩くラゲージが横揺れしたら:さらに引っ張れ! (BBC-Science & Environment, June 20, 2017)

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 身近な日常の疑問に、明快な答えを与える研究には「小気味よさ」がある。
 「Universite Paris-Diderot (パリ・ディデロ大学)」の Dr Sylvain Courrech du Pont らの研究チームは、「ラゲージを引っ張り歩くとき、なぜ左右に大きく横揺れするのか」に着目した。通路のバンプを乗り越えるときには、とくにラゲージが不安定になり、下手をするとひっくり返ることもある。
 
 こんなときは、どうすれば良いか。結論を先に述べるなら、強くラゲージを引いて、ラゲージの走行スピードを上げる。これで問題は解決だ。

 Dr Courrech du Pont らはラゲージの「translational motion (並進運動)」と「rotational motion (回転運動)」に関する理論的な方程式を解析するとともに、「treadmill (トレッドミル)」のベルト上にアルミ製のスーツケースを置いた実験によって、解析結果を確認した。
 
 その結果、バッグやスーツケースを引っ張って歩いている最中に、横揺れを始めたら、引いているスピードを緩めてはいけない。かえって揺れが大きくなってしまうことが分かった。なお、研究の詳細は「Royal Society Proceedings A」に発表された。

 なお、身近な物理学上の問題として、「Why shoe laces come undone (靴紐がなぜ、ほどけるか)」については、次のように説明されるという。

"They found the force of a foot striking the ground stretches and then relaxes the knot, while a second force caused by the leg swinging acts on the ends of the laces, like an invisible hand."

[ 研究者が明らかにしたところによると、足が地面に着地するとき、靴紐には、これを引っ張って、緩める力が働き、次に、足が地面を蹴る動作で、靴紐の両端に、これをほどく力が働くためだ。それはまるで、見えない手があるようなもの。]

                  (写真は添付のBBC Newsから引用。)

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