神経細胞が死滅するパーキンソン病:その原因は腸内細菌! (BBC-Health, Dec 2, 2016)
BBCはなぜか、ここに 6ヶ月前の医療トピックスを取り上た。しかし、その内容はすばらしい。
脳内の神経細胞を徐々に死滅させ、手の震え (tremor)や歩行・運動機能障害 (difficulty moving) を引き起こす「Parkinson's disease (パーキンソン病)」。原因は不明だ。現在のところ、不治の病 (incurable disease) の一つとされる。
ところが、その「原因発見の瞬間 (eureka moment)」が「California Institute of Technology (カリフォルニア工科大学)」の Dr Timothy Sampson らの研究チームにやって来た。
なんと、人の脳の神経細胞をオーバーヒートさせ、次々に壊していたのは、腸内細菌 (gut bacteria) だった。
Dr Sampson らは、タンパク質「α-シヌクレイン (alpha-synuclein)」のレベルを高めた遺伝子学的にまったく同じマウスをつくり、これを使って動物実験を実施した。
すると、パーキンソン病患者から採取した腸内細菌をマウスに注入すると、無菌のマウス (sterile mice) では発症しないパーキンソン病を発症したという。なお、研究結果の詳細は、医学雑誌「Cell」に発表された。
"Scientists believe the bacteria are releasing chemicals that over-activate parts of the brain, leading to damage."
[ 研究者らは、腸内細菌が化学物質を分泌し、それが脳内の免疫細胞ミクログリアを過剰に活性化させて、神経細胞のダメージを引き起こしていると考えている。]
したがって、パーキンソン病と同様に、原因不明とされる「neurodegenerative disease (神経変成疾患)」も「腸内微生物叢 (gut microbiome)」が関与している可能性が浮上した。
"The trillions of bacteria that live in the gut are hugely important to health, so wiping them out completely is not an option."
[ とは言え、腸内には数兆ヶの細菌が住み付き、健康にとって極めて重要な役割を果たしている。したがって、この腸内細菌を全て取り除くことは現実的な治療法ではない。]
それでは、どうするか。
今後は、「digestive system (消化系)」に目を向けた「revolutional treatment (革新的な治療法」の開発が期待される。
(写真は添付のBBC Newsから引用。)