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イギリスのEU離脱Brexit:地質学的には15万年前に完了! (BBC-Science & Environment, April 4, 2017)

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 イギリスは 3月 30日、EUからの離脱手続きを正式に開始した。EU諸国を相手に、その離脱交渉は難航するものと見込まれている。
 ところが、科学雑誌「Nature Communications」にイギリスの May 首相も、思わずため息をつくような事実が発表された。「Imperial College of London」大学の Sanjeev Gupta 教授らの研究結果によると、「Great Basin (グレート・ブリテン島)」は、地質学的には約 15万年前、ヨーロッパ大陸から完全に切り離されていたのだ。

 今から約 50万年前の、氷河期のまっただ中にあった時代には、イギリス南部 Kent (ケント州) の町「Dover (ドーバー)」とフランス北部の都市「Calais (カレー)」は白い岩chalk (チョーク) の陸橋 (land bridge) でつながっていた。その陸橋の北側には巨大な氷河湖 (glacial lake) が広がり、湖の岸辺にはヨーロッパのほぼ全域を覆っていた氷河の壁が立ちはだかる。
 時が過ぎ、約 45万年前頃になると、その氷河が溶け出し、氷河湖の水位が上昇する。そしてついに、氷河湖に湛えられていた水が陸橋を越えて溢れ出す。それは滝のように海に落下し、陸橋に沿って幾つもの滝つぼ (plunge pools) を形成した。

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 その後の約 15万年前、氷床 (ice sheet) の一端が氷河湖に崩れ落ちたためか、突如として大量の水が一挙に陸橋に襲いかかる。これによって陸橋は壊滅的な破壊を受け、完全に消え去ってしまった。地質学的に Great Basin を Europe から切り離す「決定的なイベント (defining event)」は、瞬時に終わったと思われる。

 数十年前、ドーバー海峡 (Dover Strait) のトンネル工事に先だって海底調査が実施された際、不可解な窪み (depressions) が多数発見された。岩盤の上に、深さ100m、直径数百~数㎞ の巨大な穴が、一列に並んでいたのだ。今回の Gupta 教授らの研究によって、その謎がすっかり氷解したと言える。

 しかし、イギリスは議会民主主義発祥の国。日本とは違うと思っていた。その国で、英語に「Brexit 」などと余計な単語を加え、無理やりEU離脱に国民を誘導したイギリスの政治家 (politicians) たち。なんとも「不可解かつ壊滅的なイベント (mysterious and catastrophic event)」が起きたものだ。
  もちろん、May 首相がこの論文あるいは「滝壺の痕跡 (scares)」を持ち出して、『15万年前、すでにイギリスはヨーロッパから切り離されていた』などと、どんなに主張としても、何の役にも立たないだろう。
                 (写真は添付のBBC Newsから引用。)

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