UK製「折畳みバイク」:部品がなくて、組立て製造販売できない! (BBC-News, Dec 9, 2020)
これまで見逃され、あるいは見落とされていただけだった。新型コロナ Covid-19感染騒動で、はっきりしたことはいくらでもある。しかし、3つだけ挙げるとすれば、
・WHO、政府の危機管理力のレベルの低さ
・米国の頑(かたく)なな自己本位主義。そして欧米の、遊びたいだけの若者のエゴ集団
・廉価医療品 (マスク、ゴム手袋など)の中国依存度の高さ
とくに、マスクや医療用手袋の製造については、ほとんど忘れかけていた日本。今、それが保健衛生上の必需品として、どんなに大切なものであるかが思い知らされた。安ければ良いのではなかった。品質が保証され、必要なときに確実に手に入ることが重要であったのだ。そこまで他国に支配されてはならない。
さて、他国に牛耳られている事情は、UKとて同じだ。たとえば、「folding bike (折畳み自転車)」の人気ブランド「Brompton bikes (ブロンプトン・バイク)」は、その部品・パーツの製造を中国はじめアジアの極東諸国 (Far East)に全面的に依存している。
ところが、それが裏目に出て、今、UKの産業は窮地に立たされているのだ。
サイクリング・ブームに乗って、このところ自転車の売れ行きは好調。その専門店の店先を覗くと、イギリス製の折畳み自転車には、どれも10万円を下らない値札が付いている。しかし、「Made in England」とは言っても、その全てのパーツは輸入ものだ。England南部のGreenford (グリーンフォード)で、パーツを組み立てているだけだ。
そのパーツを積んだコンテナ船が、UKの国際貿易港
・Felixstowe
・Southampton
・London Gateway
の沖合で、荷揚げができずに立ち往生している。その結果、この 6週間で、積み荷のパーツ約150万個が紛失したり、遅延を理由に契約解除に追い込まれたという。
とにかく、パーツ 1個が欠けても、高価な「Brompton bikes」の組み立てはできない。経営者は、組立工場の従業員を自宅待機にせざるを得ない。その反面、「開店休業」の状態であっても、給料の支払いと「overhead (諸経費)」の支出を余儀なくされる。
この状況では、コンパクトに折畳むのが得意な「Brompton」も、これ以上は、経費のコンパクト化は無理のようだ。
なお、「Logistics UK (英国貨物輸送協会)」公共政策部長の Mr Alex Veitchによると、英国の経済界は、現在、次の「3つのC」に悩まされているという。
・Christmas rush for goods:クリスマス・シーズンの商品ラッシュ
・Coronavirus disrupting supply chains:物流をズタズタにするコロナウイルス
・Custom uncertainty:「合意なきEU離脱」の際の、関税システムの不透明さ
おわりに:「誰からも、とやかく言われたくない」と、我を通すイギリス。EU離脱で得るものと、失うものの計算は終わっていたずはずだった。いかにワクチンを打ったところで、Coronaショックと Brexitショックのダブルパンチで、2021年の経済は、相当なダメージを受ける可能性がある。
(写真は添付のBBC Newsから引用)