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旱魃、洪水、疫病:世界を襲う「水の凶」- IPCC Report 2022 - (RTE-News, Mar 25, 2023)

Un report states that half of the world's population experience severe water scarcity

 タイムマシンが故障し、宇宙を旅していた Gulliver Jr (ガリバー・ジュニア)は、誤ってP惑星の北極付近に降り立った。そこで目にしたもの。それは、あまりの寒さに頭が凍りついた 2本足の生物の国だった。どの生物も自分で考えることができず、ほとんど気が変になった一人の王様の言いなりで動いていた。

 

 あっけにとられながらも、しばらく、Gulliber Jr がようすを伺っていると、その Q王国は、隣国に軍隊を派遣し、逃げまどう女・子どもまで殺し始めた。さらに、生き残った住人を一人残らず殺そうとして、核爆弾まで持ち出した。そして、残虐な殺戮が続いた。それは、おぞましい、目をそむけたくなるような光景だった。

 

 さて、地球も「一触即発 (imminent global cricis)」で核戦争が勃発する危機に陥った。しかし、人類の生命・安全を危険に晒しているのは、気狂いじみた核戦争だけではない。

 互いに責任を他国になすり合って、大量の CO2ガスを排出したツケが回って、地球の気候は完全に狂いだした。地球の至るところで洪水、旱魃(かんばつ)が頻繁に起こり、安全な飲み水さえ手に入らない地域が続出するようになった。

 

 そんな状況下にあって、「The Intergovernmental Panel on Climate Change (気候変動に関する政府間パネル IPCC)」は、この 3月20日 (月)、「The IPCC Report 2022」を発表した。

 また、この報告書をたたき台とした「The UN 2023 Water Conference (2023年国連水会議)」( 3月22- 24日)が New Yorkで開催された。

 

 その会議で取り上げられた重要ポイント (key takeaways)を、以下に紹介する。

 

1.Shortages:水不足

 過去40年間、世界の水の消費量 (global water consumption)は、毎年約 1%ずつ増えている。この水の需要に応えるためには、今後ますます地下水 (groundwater)に頼らざるを得ないが、その量は、年間 100− 200 cubic kirometres (1,000億- 2,000億トン)と、とんでもない量の地下水の組み上げが迫られ、

・深刻あるいは危機的な水不足に瀕している人:地球全人口の約 10% (約 8億人)

・一年のうちで少なくともある時期深刻な水不足に陥る人:約50% (約 40億人)

 

 なお、気候変動が引き起こした水不足は、農業をはじめ、人々の健康と家計に大打撃を与えた。貧しさに耐えかねて、人々は移民となり、紛争が絶えない社会状況をつくり出した。「The World Bank (世界銀行)によると、水不足が深刻な地域における被害総額は、GDPの 6%に達するという。

2.Agriculture:農業

 これまで、全世界の水の使用量の70%以上を農業分野が占めてきた。しかし、人口が都市に集中すると、都市部の水の需要が高まって、農家は十分な水を確保できなくなっている。

・2016年の段階で水不足に瀕する都市人口は 9億3,300万人であったが、2050年になると、その数は17億- 24億人に膨れ上がると予想されている。

3.Disasters:水害と旱魃(かんばつ)

 気温が 1℃上がると、大気中の水分は約 7%上昇する。このことは、世界の平均気温が上がることによって、降雨量が増えることを意味する。しかし、その雨の降り方が異常になっている。予期せぬ時節に、突然、雨が降り出したかと思うと、それが豪雨となるパターンが増えたのだ。

 2000− 2019年の期間に限ると

・洪水被害の総額 $650 billion (約 86兆円)、水害被災者170万人、死者10万人以上

・その一方で、旱魃 (drought)地域が拡大し、

 旱魃被害の総額 $1,300億 billion (約172兆円)、旱魃被災者140万人

なお、水害と旱魃の 2つだけで、自然災害 (natural disasters)の 3/4以上を占める。

4.Sanitation:公衆衛生 (安全な飲み水と清潔なトイレ)

 近代社会になったとは言え、2020年の段階で

・安全な飲み水が確保できない人:世界人口の 1/4以上 (約20億人)

・清潔な公衆衛生サービスが利用できない人:世界人口の 46% (36億人)

・自宅にトイレがなく、「open defection (屋外排泄)」で用を足している人:5億人

・生活排水 (domestic wastewater)を環境に たれ流しにしている人:40% (32億人)

・清潔な治療施設が利用できない (laked basig hygine services)人:29% (23億人)

・手洗い場 (handwashing facilities)がない人:6億7千万人

・糞尿 (faeces)で汚染された水を飲み水として利用:約 20億人

 これが疫病 (コレラ、下痢、ポリオなど)の原因となっている。なお、2019年に不衛生な水あるいは設備が原因で死亡した人の数は世界で140万人と推定されている。

 

 さらに、水質を悪化させている汚染物質 (pollutants)は

・chemicals :化学物質

・pharmaceutical drugs:医薬品 (抗生物質)

・palstics:プラスチック製品

・nanomaterilas:ナノ粒子

 

5.Damage:自然破壊

 湿地帯や河川などは、脆弱な自然のエコシステムだ。そこに「agricultural runoff (農業排水)が大量に流れ込んでは、自然破壊が加速されるだけだ。湿地 (wetalnds)は、自然のエコシステムと生物多様性 (biodversity)を支える要(かなめ)であり、温暖化ガスCH4、CO2の吸収・貯留の中心的な役割を担っている場所でもある。その湿地の 85%以上が地球上から消えてしまった。

6.Invetmestment:安全な水と清潔なトイレの確保に必要な資金

 『2030年までに世界中の人々に安全な飲み水と清潔なトイレを約束する』としたUNの「Sustainable Developmental Goal (持続可能な開発目標 SDG)」を達成するためには、どれだけの資金が必要か。その必要経費を正確に試算することは極めて難しい問題だ。ただし、ある調査によると、およそ年間 $1 trillion (1.3 兆円)との結果が報告されている。安全な飲み水の確保に限っても、現在の環境改善経費の3倍に相当する資金が必要とのこと。

 

おわりに:「どぶ川」を放置すると、いつまでも「どぶ川」だ。その「どぶ川」に清流が流れ、魚が泳ぐようにするためには、まず人間の「汚れた心」の「どぶ」をさらうことが先か。

      (写真は添付のRTE Newsから引用)

www.rte.ie