人々の生活を破壊する自然災害:それでも、関心の薄い気候変動! (RTE-News, Sep 13, 2022)
世界気象機構 (The World Meteorological Organisation)が中心になって各国の気候変動に関する研究結果をまとめた報告書「United in Scinece 2022 (科学連合2022)」によると、パリ協定で地球温暖化対策の目標とした、
『2030年までに世界の平均気温の上昇を産業革命以前に比べて 1.5℃に抑える』
を達成するためには、現在の温暖化ガス排出量の削減量を7倍に引き上げる必要があるという。
さまもないと、災害リスクを抱える地域あるいは都市の住民は、これまで以上に
「Socio-ecoomic imapacts (社会・経済的影響)を受けかねない状況にある。
なお、国連のグテーレス事務総長は、「気候崩壊 (climate disruption)が急激に加速すると、気象関連災害 (weather retated disasters)、すなわち
・floods:洪水
・drougts:旱魃
・heatwaves:熱波
・extrem storms:暴風雨
・wildfires:山火事
から逃れられる人など誰もいなくなる」と指摘する。
実は、その災害の規模、頻度も拡大し続けているのだ。過去60年間で、自然災害の発生件数は 5倍に増加したという。
この夏に限っても
・Europe:heatwaves (熱波)
・Pakistan:colossal floods (大洪水)
・China, Horn of Africa & US:prolonged droughts (長引く旱魃)
などの災害がきわだった。それもこれも、グテーレス事務総長の言葉を借りれば、
・They are the price of humanity’s fossil fuel addiction.
(すべては、人類の化石燃料中毒の代償だ。)
さらに、WMO報告書は警告する。
” The world is heading in the wrong direction, and without much more ambitious climate action, the impacts of climate change will be increasingly devastating.”
[ この世界はまちがった方向に向かっている。したがって、これまでよりもはるかに思い切った気候変動対策をとらない限り、気候変動の影響はますます壊滅的なものになるであろう。]
とくに、熱波は今後も世界中の都市を襲い、2050年になると、都市人口の16億人以上が、1年のうち 3ヶ月が平均気温35℃以上の熱波に悩まされることも、ごく当たり前の時代を迎えると指摘する。
おわりに:多くの人にとって、目の前に差し迫った最大の脅威は「地球温暖化」ではない。それよりも、中国武漢から世界中に広まった新型コロナウイルスの感染と、ロシアのウクライナ侵略戦争が断然に気がかりだ。
そのウイルスは、変異を繰り返して、感染力を強め、全世界の正常な医療システム、社会生活、それに経済活動を麻痺させた。また、ロシアの無謀な戦争は、全世界にエネルギー・食糧危機、物価高、インフレを招き、平和な世界の経済を大混乱におとしいれた。
この2つは、誰にも予想がつかない、とほうもない大事件だった。このせいで、人々は、気候変動を考える余裕を失ったのだ。
さて、2022年も残すところ、あと60日ばかり。来年も「前代未聞」の事件あるいは「前代未聞」の自然災害が起こるのだろうか。自然災害とて、コロナ、戦争と同じ。ときに、命に関わることもある。これを忘れてはいけない。
(写真は添付のRTE Newsから引用)