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宇宙旅行には特殊な寝袋が必要:これがないと視覚障害SANSに! (BBC-Science, Dec 9, 2021)

Sleeping bag

 宇宙旅行は人類の長年の夢だった。今や、それも短時間に限られるが、億万長者だったら宇宙に行ける時代になった。しかし、その旅行が長時間に及んで、地球に帰還したとき、体はどうなっているのだろう。

 

 宇宙に長期間滞在した宇宙飛行士 (astronauts)は、少し若返ったように見える。それは宇宙の時計がゆっくりと進むからではない。単に、顔がむくんで、シワが消えたためだとか。

 

 宇宙では体が常に無重力の状態に置かれるため、地球上に居るときに比べて、頭に大量の血液 (約2L)が流れ込んで、眼球が強く圧迫される。

 これによって、宇宙飛行士が「International Space Station (国際宇宙ステーションISS)」に 6ヶ月を超えて滞在すると、2人に 1人以上が、「Spaceflight-associated neuro-ocutar syndrome (宇宙飛行関連神経眼球症候群 SANS)」を発症し、症状は次のような「視覚障害 (vision problems)」に発展することが多いという。

 

progressive flattering at the back of the eyeball:進行性眼底変形

・swelling of the optic nerve:視神経腫脹

vision impairments:視力低下

 

 たとえば、2005年の4- 10月にかけてISSに長期滞在し、その後、地球に帰還したJohn Phillips (ジョン・フィリップス)宇宙飛行士は、SANSを発症して視力が極端に低下したとされる。

 

 そこで、Texas大学の Benjamin Levine教授らの研究チームは、宇宙飛行士のために特殊な「宇宙寝袋 (space sleeping bag)」を開発した。この装置の原理は「vacuum cleaner (電気掃除機)」と同じで、圧力差(吸引力)を作り出すもの。この寝袋に下半身を入れて眠ると、睡眠中に体の血液が足に向かって流れ込むように設計されている。この寝袋がないと、2年間もかかる火星までの宇宙旅行は、ほとんど不可能に近いと考えられる。

 

 なお、無重力の宇宙では、心臓が収縮し、不整脈の一種の「atrial fibrillation (心房細動)」を起こしやすくなることが、Levin教授らによって発見されているとか。

 

おわりに:宇宙旅行は、すばらしいかも知れない。けれども、地球に帰還したら、体がガタガタ、ボロボロになっていたのでは大変だ。宇宙旅行、それは どんなにお金があっても、民間人にとって、今しばらくは、控えたほうがよさそうだ。  

     (写真は添付のBBC Newsから引用)

www.bbc.com