宇宙人の呼びかけか!:強力な電波はどこから来るのか? (BBC-Science and Environment, January 10, 2019)
宇宙は、小さな人間など想像もつかないくらいに広い。その気の遠くなるほど遠くの「galaxies (星雲)」から、爆発的なエネルギーを持った電波が地球に向けて発信されている。天文学者は、これを「Fast Radio Bursts (高速電波バーストFRBs)」と呼ぶ。
それは、地球上の電波望遠鏡上で、ほんの、千分の1秒ちょっと、文字通り瞬時に輝いたかと思うとすぐに消える信号だ。しかし、まれに、この宇宙から飛来する正体不明の信号は、繰り返されることもある。
はたして、それは、宇宙人からのメッセージなのか。ここに、FRBsの発生源を解き明かす天文学者のチャレンジがある。紹介するのは5つの説。
1.A rapidly spinning neutron star:高速回転する中性子星説
大質量の恒星が終焉を迎えて、超新星爆発を起こすと、強力な磁場の中を高速で回転する中性子星となる。中性子星は重力波とともに周期的に強力な電波 (radio waves)の「エネルギー・バースト (energetic burst)」を放出し、パルサー (pulsars)として観測されるようになる。
ただし、British Columbia大学のDr Ingrid Stairsによると、中性子星で何が起きて、このような高エネルギーのFRBsが放出されているのかについては不明。
2.Two stars merging:2つの中性子星の融合説
McGill大学の Dr Shrharsh Tendulkarによると、これは有力説の一つ。異なる 2つの中性子星が衝突するのは、宇宙の「cataclysmic event (大異変)」であり、膨大なエネルギーが放出される。ただし、このシナリオでは、衝突時に、FRBsがただ 1回のみ観測されるはずであり、過去10年間に観測されたような、同じ方角から繰り返して発信されるFRBsの発生を説明できない。
3.Blitzar:ブリッツァ説
2013年、Heino Falcke & Lucianno Rozzollaによって提唱された「Blitzar」説。
「Blitzar(ブリッツァ)」とは、中性子星が高速回転しながら重力崩壊して、ブラックホールになりかけている天体。これが、FRBsを放出していると説明する。
しかし、この説でも、地球上で繰り返し受信されるFRBsの謎を完全に解き明かすことはできない。
4.Black hole:ブラックホール説
ブラックホールが関与する説として、次のようなものがある。
・中性子星がブラックホールとなってFRBsを放出
・ブラックホールが崩壊してFRBsを放出
・ダークマターがブラックホールに衝突してFRBsを放出
5.Alien life form:宇宙人発信説
研究者の中には、FRBsを「extra-terrestrial activity (地球外生命体の活動)」の証拠と捉える人もいる。
しかし、FRBsは宇宙のあらゆる方角から、地球に届いている。したがって、それは宇宙に浮かぶ無数の星雲から発信されていると見るべきだ。すると、違った星雲に生息する生命体が、みな、同じような信号を、同じようにして地球に送っているとは考えにくい。
このことから、宇宙人発信説は,「ほとんどあり得ないもの (highly impossible)」となる。これが、Dr Stairsの見解であり、結論。(少しばかり、夢が欠けているようにも思えるが。)
(写真は添付のBBC Newsから引用)