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「中年太り」に、「老年症候群」:これは新陳代謝の衰えのせいか? (BBC-Health, Aug 13, 2021)

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 人間(動物)が生きるためには、水、空気、栄養物を体内に摂り込んでエネルギー・細胞素材源とし、いらなくなったものは排出する必要がある。この働きが新陳代謝(metabolism)。生命体の溌溂(はつらつ)さを表わすバロメータでもある。

 

 では、人の一生の間に、新陳代謝はどのように変わるものだろうか。また、それは肥満や病気と関連があるものだろうか。

 

 そんな疑問に答えるために、Duke大学の Herman Pontzer教授らの国際研究チームは、生後 8ヶ月の新生児から95歳の高齢者までを含む、29ヶ国の被験者 6,421人を対象にした大規模な新陳代謝試験を実施した。(研究内容の詳細は「Science」に発表。)

 なお、検査法には、重水素 H2と酸素 O18から成る、H2Oの同位体「二重標識水(doubly labelled water)」を摂取する新陳代謝測定法が採用された。

 

 その結果、一生の間に、新陳代謝 (metabolism)は、次の 4段階 (four phases)に変化することが分かった。

 

1.Baby phase:乳児期 (生後 1歳まで) :生まれると新陳代謝は成人の1.5倍に上昇

2.Puberty phase:思春期 (1- 19歳):ピークに達した新陳代謝は徐々に減少

3.Adult phase:成人期 (20-  60歳):ほとんど変化せず、一定

4.Elderly phase:高齢 (61歳以上):徐々に低下し、90歳になると中年世代に比べて26%も減少

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 人間は、生後1歳までの間に、新陳代謝が最高値に達し、その後、幼少・思春期にわたって徐々に低下し、青年になると、妊娠、閉経に関わらず、ほとんど変化しない。

 しがたって、かっては、40、50代で新陳代謝が衰えることで「middle-aged spread (中年太り)」になると考えられていたが、そんなことはなく、その主な原因は、「食べすぎ、カロリーの摂りすぎ」にあることが明白になった。

 

 また、新陳代謝が急速に上昇する乳幼児期は大切な成長期間であり、この時期にに、栄養失調 (malnutrition)などで充分な栄養が摂れないと、その影響を一生引きずることになる。

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 なお、高齢期に落ち込む新陳代謝を遅らせることができるなら、高齢者に多い慢性疾患の改善に役立つ可能性がある。それに、これまで、薬剤の処方に当たって、まったく考えられてこなかった「年代別の新陳代謝の違い」は、「ガン (cansers)と新陳代謝との関連性」のテーマとともに、今後、さらに研究が必要な課題になった。

 

おわりに:「三つ子の魂 百まで」とは、『人の性格は、もの心がついたときから、良くもならないし、悪くもならず、一生変わらない』ことを揶揄(やゆ)した たとえだ。

 ところで、教育には、学びをとおして、知性・徳を高め、有能な人材を育成するという崇高な使命があった。しかし、どうしたわけか、教育を受けた若ものの多くは、年を重ねるにつれて良心が かすれ、柔軟で素直な、その心身を劣化、硬化させ、他人に対する思いやりも優しさも失う。

 ゴツゴツと節くれだった老木の泥の木のように、わがままで、意固地で、意地っ張りで、自分のことしか考えない老人が増えては、かっての教育が失敗だったことになる。

 

謝辞:この一文をまとめるに当たって、以下の優れた「The Guardian」の記事も参照した。記して謝意を表したい。

The Guardian: August 12, 2021

・Energy bot burn: teenage metabolism rte similar to adults’, says study

 

      (写真は添付のBBC Newsから引用)

www.bbc.com