オリオン座の不吉の赤い星ベテルギウス:急に暗くなって爆発か? (BBC-Science, June 18, 2021)
小さな子どもまで知っている「Constellation of Orion (オリオン座)」は、夜空にひときわ目立つ星座の一つ。そのオリオンの左肩で、赤っぽく輝く星がある。一等星の「Betelgeuse (ベテルギウス)」だ。英語では「ビート ルジュース」と発音する。
星の「赤っぽい」色も怪しげだが、さらに気味の悪いことに、この星の明るさは一定しておらず、およそ400日周期で、明るくなったり、暗くなったりを繰り返す「semi-regular variable stars (半規則型変光星)」だ。このため、不吉の星ともささやかれた。
恒星ベテルギウスの質量は太陽の15− 20倍、その直径は995倍とされ、地球から約550光年の宇宙のかなたにあって、星の末期を迎えた「red supergiants (赤色超巨星)」。いつ爆発してもおかしくない星だ。
そのベテルギウスの明るさが、2019年の暮れ、突然暗くなった (abruptly darkened)。
そこで、天文学者 Miguel Montargèsらの研究グループは、ヨーロッパ南天文台の超大型望遠鏡VLTで捉えた映像を解析し、その「Great Dimming (大規模減光)」のなぞを探った。その結果、絞られた原因は二点。
その一点目はこうだ。一般にベテルギウスのような赤色超巨星には、巨大な「対流セル (convective cells)」が存在し、これが恒星表面に「hot spots」と「cool spots」を生み出している。今回、たまたま、地球から観測される側に「cool spots」が移動したと考えられる。
あるいはまた、地球とベテルギウスとの間の宇宙空間に、「clouds of dust (ダスト雲)」が入って、ベテルギウスが薄暗くなった可能性もある。
ベルギーの「KU (Katholieke Universiteit) Leuven(ルーベン・カトリック大学)」の研究者 Ms Emily Cannonによると、おそらく、その二つが重なって起きた現象。
つまり、ベテルギウスで「cool spots」が出現し、それがガスの噴出を促して、ベテルギウスの周りにダストを撒き散らした。たから、はじめに、ベテルギウスの明るさが落ち、次に、高濃度のダストのせいで、その明るさがさらに急減した。
さて、赤色超巨星のベテルギウスは、徐々に、その質量を失っている。これは、星の末期に見られる現象と考えられ、「supernova explosion (超新星爆発)」が近いとも言える。しかし、研究者はすぐに(少なくとも人類がこの世にある間?)は、起こらないだろうと見る。いつ、ベテルギウスが爆発するかは誰にも予測できない。
なお、「Milky Way Galaxy (銀河系)」で起きた最後の超新星爆発は、1604年に観測された「Kepler's Star (ケプラー新星)」すなわち「SN1604」。当時の観測録によると、3日の間、日中でも、その明るさを確認できたたという。
おわりに:星占い師 (heroscopists)は、このベテルギウスの意味ありげな「啓示」をなんと見たことだろう。人間の争いに呆れ果てた「創造主のため息」。それとも「大災害の前触れ」。いずれにしても「未来が、または前途が明るい兆候」とは、どんな星占い師も断定できないに違いない。
(写真は添付のBBC Newsから引用)