忘れられていた珈琲の野生種「ステノフィラ」:次世代の主流に! (BBC-News, Apr 21, 2021)
地球上のどこかの森で、密かに葉を広げ、花を咲かせているコーヒーの木の種類は100種以上にのぼる。しかし、その中で、コーヒーとして味わえる種は、ほんの一握りに過ぎないという。市場に出回っているコーヒーのほとんどは、Arabica種か Robusta種のどちらかだ。
とくに、Arabica種は、その優れた味が好まれて、世界のコーヒー生産量の約 60%を占める。
ところが気候変動 (climate change)の影響をまともに受けて、世界中のコーヒー生産農家が脅かされている。とにかく、近年、気温が上昇し、雨は少なくなり、それも気まぐれの雨となった。Arabica種は干ばつに弱いのだ。このまま地球温暖化が続くと、2050年には、コーヒーの栽培に適した地球上の地域は約半減すると見込まれている。
そんな状況のさなかに、絶滅したと考えられ、人々から忘れられていたコーヒーの木の野生種「Coffea stenophylla (コフィア・ステノフィラ)」が、国際調査研究グループによって「Sierra Leone (シエラレオネ)」の森の中で発見され、関係者の注目を浴びている。
Stenophylla種は「West Africa」原産の野生種。干ばつに強く、少々気温が上がっても、へこたれない。その耐性気温は、Arabica種よりも 6℃も高い。
地球温暖化に伴ってコーヒー栽培農家は手を焼いているが、この Stenophylla種だったら、暑さや干ばつも乗り切れそうだ。将来有望 (futre-proofing)な期待の星であることに間違いない。
なお、この野生種で焙煎したコーヒーの味は、どうか。
Stenophylla種の豆を焙煎し、「coffee connoisseurs(コーヒー通)」のグループに、目隠しして試飲してもらったところ、その80%以上が Stenopylla種と Arabica種の違いを判別できなかったという。(研究内容の詳細は科学雑誌「Nature Plants」に掲載。)
研究調査を主導した「The Royal Botanic Gardens, Kew (英王立植物園)」の Dr Aaron Davisは、今後、「Sierra Leone (シエラレオネ)」で、この Stenophylla種が大規模に栽培、生産されて、5− 7年のうちには、新たなコーヒー豆が世界の市場に出回ると見ている。
おわりに:Arabica種には、きな臭い人間の欲望が混じる。アマゾンの密林を不法かつ めったやたらに切り開いてつくったブラジル産コーヒーは敬遠したい。それに、コーヒー豆の価格は、一部の投機家によって振り回されている。地球環境を守る心があるのなら、コーヒーにもこだわりたい。
(写真は添付のBBC Newsから引用)