「月下美人」は数々あれど:咲いた咲いたアマゾンの原種! (BBC-News, Feb 20, 2021)
珈琲の木は気まぐれ。気分がよければ、たくさんの白い小さな花を咲かせる。咲き始めの花は、ほんのりと甘い香りがする。
ところが、カトレアは、なぞめいている。花が咲いてもすぐには匂わない。まだかまだかと、ずいぶんと気を揉ませた上で、ようやく妖艶な香りを放つ。そして、すぐに、花を枯らしてしまう。
しかし、どんな植物であれ、花は「生きた証(あかし)」であり、「生きる歓び」に違いない。
さて、アマゾン川流域の熱帯雨林は、季節によって水没することもある。その満潮線の樹々の上に、アマゾン原種のセレニケレウス属「moonflower (月下美人)」,学名「Selenicereus wittii (セレニケレウス・ウィッチ)」が根を絡(から)ませて生きている。いわゆる「epiphytic cactus (着生サボテン)」の 1種だ。その真っ白な花は優雅そのもの。
Cambridge大学植物園 (Botanical Garden)は、UKではじめて、その月下美人を開花させることに成功した。この珍種サボテンは、6年前、ドイツの「Bonn植物園」から UKに運ばれて「Water Chestnut tree」に活着させて、大事に育てられて来たものだ。
2月20日(土)の 15:00頃になって、大きさ 28cmの白い花がゆっくりと咲いた。そして、花の周りには甘い香りが漂ったという。しかし、それも束(つか)の間のこと。2時間もすぎると、「racid (腐った野菜の匂い)」に変わり、花の命を終えた。
謝辞:この一文をまとめるに当たって、以下の優れた「The Guardian」の記事も参照した。記して謝意を表したい。
The Guardian:Feb 20, 2021
・Rare Amazonian cactus flowers for first time in UK
おわりに:「月下美人」と名のつくサボテンは色々ある。その多くは「エピピュルム・オクスュペタルム(Epiphyllum oxypetalum)」と呼ばれる品種。この花も美しい。そして、あっという間に、花を落とす。その潔(いさぎよ)さは、椿の花を思わせる。
(写真は添付のBBC Newsから引用)