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これが未来の物質:自己修復、ミクロ、カメレオンの機能あり! (BBC-Science, Feb 18, 2021)

Medical nanobot

 築50年を過ぎた老朽橋梁が問題になり、政府は莫大な税金を注ぎ込んで、急きょ、全国の橋の補修工事に乗り出した。これで儲かったのは土木・建設業だ。

 関係者は力説する。橋げたのヒビ割れや鉄骨のサビは、橋の落下・崩壊事故に繋がりかねないと。

 しかし、そんなことは、橋の建設当初から分かり切っていたことだ。コンクリート・鉄骨の老朽化対策技術が遅れていたか、または老朽化に気づかなかった、あるいは、建設工事に手抜きがあったかのいずれかに違いない。

 

 それにしても、思慮分別もなく、途方もないほどの税金を、度々費やしていては、国の財政がもたない。

 未来社会は、このような状況から抜け出せるのだろうか。ここに「Royal Society」の Mark Miodownikらの研究チームがまとめた報告書がある。それは「Smart materials (スマート・マテリアル)」の最前線に関する調査結果だ。その一例を以下に示す。

 

1.self-healing concrete:自己修復コンクリート

 コンクリートは圧縮に強いが、引っ張りに弱く、ヒビ割れが発生しやすい。一度、小さなヒビが入ると、そこに雨水が染み込み、それが凍結するものなら、さらにヒビ割れが拡大する。

 そこで開発されたのが自己修復コンクリート。ビチューメン基材の補修材、あるいは空気に触れると石化するバクテリアをカプセルに封入し、それをコンクリートに埋め込んで置く。

    ヒビ割れが発生すると、カプセルが割れて、自動的にヒビの補修作業が開始されるという。すでに UKのコンクリート道路で実証済みだ。

Self-healing concrete

2.self-repairing circuits:自己修復電子回路

 コンピュータは便利だが、これが一旦、故障すると、どの回路に異常が発生したのかを探し出すのは大変な仕事になる。大抵は、正常に機能しないパーツを、そっくり新品に取り替える。もちろん、古いパーツは廃棄処分。

 しかし、その状況が変わりつつある。すでに、故障回路を自力で探し出して補修し、その回路機能を元に復帰させる集積回路が開発されている。

 

3.medical mini-robots:マイクロ医療ロボット

 薬を服用しても、本当に必要な腫瘍 (tumours)に届くのは、そのごく一部。むしろ健全な組織にダメージを与えることも少なくない。そこで開発されたのが、医療用のマイクロ・ロボット。血管の中を自由に動き回る、ごく小さなロボットだ。

 このロボットに薬剤を運ばせて、ピンポイントでガン腫瘍などを攻撃する。もちろん、必要に応じて、患部の切開 (incisions)や撮影も可能。

 

4.smart clothing:カメレオン・ウエア

 着ている衣服が、あなたの気分に応じて、まるでカメレオンのように色も変われば、サイズも変わる。これが未来のウェアだ。

 センサーを埋め込こむと、体の動きに応じてウェアの部分的なカラーも変わり、体のどの箇所が動いているのかが、一目で分かるという。これはリハビリ治療にうってつけのウエアだ。

Clothing

5.regulation for animate materials:法整備の必要性

 人間のコントロールから離れて、勝手に機能を発揮する、あるいは動き回る未来型物質 (materials)。優れた面もあるが、安全性、倫理・実用上の「unintended consequences (思わぬ結果)」を引き起こす可能性も否定できない。

 したがって、「animate materials (自立型機能性物質)」の使用に関しては、新たな法整備が急がれるという。

 

おわりに:どんな便利なものにも、落とし穴がつきまとう。それにミスを起こさない完璧なものなど、この世にありえない。そのときの事故の責任は誰にあるのか。これを明確にして置くのは、ごく当たり前のことだ。

                  (写真は添付のBBC Newsから引用)

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