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山火事のモクモク煙が危ない:感染症の病原菌・真菌でいっぱい! (BBC-Science, Dec 18, 2020)

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 風の強い日に山火事 (wildfires)が発生すると、次々に周り木々や草地に延焼し、火が住宅地に迫ることもあるため、極めて危険だ。ときに激しい噴煙 (smoky plumes)が上がり、煙は数百メートルの上空に達することもあるという。

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 これまで、山火事の健康被害と言えば、煙に含まれる微細な煤(soot)などの「粒子状物質 (particulate matter)」が原因とされる「respiratory ailments (呼吸器疾患)」、「cardiovascular diesease (心血管疾患)」だった。

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 しかし、Idaho大学の Dr Leda Kobziarらの研究グループが、山火事の煙を調べたところ、そこには、感染症を引き起こす病原性細菌 900種以上、真菌 (カビの仲間)約 100種が漂っていることを発見した。

 どんなに激しく燃え盛る山火事であっても、立ち上る煙の中で、細菌・真菌の約 60%が生き残る。これが、風に乗って、遠くの住宅地にまで運び込まれて、人の呼吸器系に侵入し、「asthma (ぜん息)」や感染症の発症リスクを高めていた。

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 さらに「The Centers for Disease Control and Prevention (アメリカ疾病予防・管理センター、CDC)」によると、山火事の消化に奮闘する消防士は、土壌に棲息する真菌が体内に入って発症する「coccidioidomycosis (コクシジオイデス症)」のリスクが高いという。

 消火活動の際に、土壌を掻き乱すと、カビの仲間の真菌「coccidioidodes immitis (コクシジオイデス・イミティス)」が煙に紛れ込んでしまうからだ。

 

 なお、煙の中の粒子状物質は病原菌にとって有利に働く。黒いモクモクの煙が紫外線を遮蔽し、お陰で病原菌は長期間生存できるのだ。

 

おわりに:火の粉が降りかかるほどの激しい山火事であっても、病原菌が確実に生き残り、風に乗って遠くまで運ばれて、人間に感染症を引き起こす。これが感染症の原因の一つだった。これまで完全に見逃されてきたことだ。

   (写真は添付のBBC Newsから引用)

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