冬のこの時期、北アイルランドの森を歩くと、木の上に「candy floss (わた菓子)」によく似た不思議なものが見つかるという。「hair ice (ヘア・アイス)あるいは「frost flowers (霜の花)」と呼ばれる「phenomenon (現象)」だ。
近寄ってよく見ると、それは直径約 0.01mmの極めて細くて長い氷の結晶。手で触れたり、太陽の光が当たると、すぐに溶けてしまう。
長い間、この「hair ice」の正体は何なのか、なぜ、それができるのかは謎だった。
しかし、2015年、ついに、「Jülich Reserch Centre (ユーリッヒ研究センター)」の Dr Diana Hofmannらの研究チームによってその謎が解明される。この現象には、「rotten wood (朽木)」に寄生したキクラゲ科のキノコ「Exidiopsis effusa (エクシディオプシス・エヒューサ) 」が重要な役割を果たしていたのだ。
しかも、森の中の湿度が高く、気温が氷点下をわずかに下回った冬の夜に「hair ice」がふわりと成長する。
なお、この不思議な氷の「candy floss (わた菓子)」の観察スポットは以下のとおり。
・Fermanagh:ファーマナ
・Tyrone:ティロン
・Florence Court:フローレンス・コート
・Castle Coole:キャッスル・クール
・Cladagh Glen:クラダ・グレン
・Big Dog Forest:ビッグ・ドッグ・フォリスト
ちなみに、ふわふわした繊維状の結晶は、鉱物にもある。「Okenite (オーケン石)」と呼ばれて、愛好者の間では人気の高い鉱物だ。
おわりに:森のキノコが「わた菓子」までつくるなんて、やっぱり、キノコ (fungi)は、摩訶不思議がいっぱいの生物だ。
(写真は添付のBBC Newsから引用)