19世紀のイギリスの田園風景画は本物:約£100,000で落札! (BBC-News, Dec 9, 2020)
人は、なぜ絵を描くのだろう。思い出を記録するためか、心の内を具象化するため、それとも、今、目の前に存在する景色や人物・静物、それに、それを取り巻く光と影、空気などをキャンバスに閉じ込めておきたいという衝動に駆られるからか。
いずれにしても、ひとりの画家が、心を込めて描いた絵は、人気取りのために、奇抜な技法を使ったり、流行(はや)りの画風を真似た絵とは、まったく違う。後者には、深い共感 (sympathy)の感動が微塵も感じられないのだ。
さて、19世紀に活躍した英国の風景画家と言えば、John Constable (ジョン・コンスタブル [1776-1837])。代表作は、1811年に「The Royal Academy」に出展した『Dedham Vale, Morning』。そして、その絵を土台にして描いた、1821年の傑作『The Hay Wain』がとくに有名だ。
Constableは、UK東部 Sufforkの「East Bergholt (イースト・バーグホルト)」に生まれ、主に故郷の田園風景をテーマにして描いた画家だった。
この 12月 9日 (水)、これまで知られていなかった、Constableの田園風景画の一枚が「Swansons」のオークションに掛けられ、£91,000 (約1,300万円)で落札された。
実は、この油絵は、かって、「コピーもの」と評価され、オークションの対象から外されていた作品だった。ところが、オークション会社「Swansons」の絵画専門担当 Ms Sarah Flynnが、Constable研究の第一人者 Ms Anne Lylesに鑑定をお願いしたところ、これが本物と判明したいきさつがある。
風景画のタイトルは『Deham Vale with Brantham Mill and haystacks』。ロンドンのある個人の邸宅に長年飾られていた一枚だったという。
その絵には
・Dedham Churchの尖塔
・River Stour
・Windmill at the village of Brantham
が丁寧に描かれている。絵の中心になっているのは、父親が所有していた風車小屋とか。
おわりに:今でこそ、Constable (コンスタブル)の風景画は高値で取引されるが、生前、この画家は、常に貧乏な暮らしだった。
(写真は添付のBBC Newsから引用)