シークレット・エィジェント(秘密諜報員)007?:オークションに出現 (BBC-News, June 21, 2016)
その男は颯爽(さっそう)と現われ、任務を果たし、そして消えた。
場所は、New York のオークションハウス「Christie's (クリスティーズ)」。「auctioneer (競売人)」が、1700 年代に描かれた風景画2枚を競りにかけ、「競り合い(bid)」が終わりに近づいたとき、競売人の声が部屋中に響き渡る。
"New bidder in the room. Sold to you sir."
[ 新たな買い手が現われました。絵はあなた様に落ちます。]
入札額は £233,107 (約 3,590万円)。このオークションを「sale online」で、nail biting(イライラ、ハラハラ) しながら、固唾 (かたず) を飲んで見守っていたのは、「Derby Museum (ダービー博物館)」のスタッフだった。
イングランド中部の「Derby (ダービー州)」が生んだ著名な画家 Joseph Wright (ジョセフ・ライト [ 1734-1797 ]) 後期の作品2点
「Sir Richard Arkwright's mills (リチャード・アークライト卿の工場)」
「Willersley Castle on Monday night (月曜夜のウィラーズ城)」
を、Derby Museumは、喉から手が出るほど欲しかった。そして、密かに「secret agent (秘密諜報員)」をオークション会場に送り込んだのだ。計画はまんまと成功し、比較的安値で狙った絵画をものにした。
Joseph Wrightは「English Caravaggio (イギリスのカラヴァジオ)」とも謳(うた)われ、首都 London からは遠く離れた故郷 Derby を拠点に活躍した希有な画家だ。
当時は産業革命 (industrial revolution) のまっただ中。オークションで手にした絵は、いずれも、パトロンの一人で、紡績産業によって財を築き、Sir の称号を得るまでに出世した Sir Richard Arkwright から依頼を受けて描いたものと考えられている。
なお、Joseph Wright の画風は、光の描き方に特徴があり、肖像、風景、科学学実験(scientific experiments) まで題材にし、独自の境地を拓いた画家として高く評価されている。
(写真は添付のBBC Newsから引用)