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送電、リニア、量子コンピュータに革命的:常温 超伝導体の発見! (BBC-Science, October 15, 2020)

A high pressure device called a diamond anvil cell was used to compress and alter the properties of hydrogen-rich materials

 たとえ出力500万kWの原子力発電所が建設されたところで、その電気エネルギーがそのままそっくり利用できるわけではない。少なくとも 5% (25万kW)は送電中に消える。送電線には電気抵抗があるため、電気エネルギーが熱エネルギーとなってムダに消費されてしまうのだ。

 

 だから、送電線に電気抵抗ゼロの「超伝導体 (superconductors)」が利用できれば、大変なエネルギー革命 (energy revolution)となる。それに、それがないと、磁気浮上式鉄道のリニアモーターカーも、レールの上に浮上できない。

 

 この超伝導体は、109年前の1911年、オランダの物理学者 Heike K. Onnesによって発見された。しかし、それは、絶対 0度 (-273.15℃)に近い極低温の世界の現象だった。

A magnet floats above a superconductor cooled with liquid nitrogen

 電気抵抗ゼロは、確かにすばらしい。しかし、その極低温環境をつくり出すためには、液体窒素によって冷却する必要があり、それには、また膨大なエネルギーを消費した。

 その後、少しでも温度の高い場で超伝導を示す物質がないものかと、多くの研究者が血眼になって、研究を競い合って来た。

 

 ところがついに、みなが「あっと驚く」夢の超伝導体の作製に、Rochester大学の Dr Ranga Diasらの研究グループが成功した。

 Dr Diasらは、室温 15℃の環境で「diamond anvil cell (ダイヤモンド・アンビルゼル)」を使い、超高圧の 267GPa (車のタイヤ圧の約100万倍)に加圧して常温超伝導体をつくり上げたのだ。

 

 その「carbonaceous sulphur hydride compound (炭素質硫化水素化合物)」の高圧成形体は、完璧な超伝導性を示した。(研究の詳細は科学雑誌「Nature」に発表) 

 

 なお、製造コストを下げて、実用化を図るためには、さらに研究を進め、超伝導体製造時の圧力を下げる必要があるとのこと。

Electricity pylons 

 とは言え、常温で超伝導性を示す物質の発見は画期的だ。これでリニアモーター、超伝導量子コンピュータの性能・エネルギー効率は格段に上がり、送電事業が受ける恩恵は計り知れない。

 

おわりに:子どもの頃に読んだマンガに、空中に浮かぶ「反重力円盤」があった。子ども心に、いつか、空に浮かぶ飛行体をつくりたいと、願ったものだ。

               (写真は添付のBBC Newsから引用)

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