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核弾道ミサイル原子力潜がフェリーにニアミス:あわや大事故! (BBC-News, July 16, 2020)

The Stena Superfast VII

 海面からチョコンと突き出た「periscope (潜望鏡)」。それが、ドンドンとこちらに向かって近づいて来る。フェリー「The Stena Superfast Ⅶ」の「lookout (見張員)」は、どんなに、肝(きも)を潰したことだろう 。

 そのフェリーは、北アイルランドの Belfastと ScotlandのCarirnryan (ケイルライアン)を結ぶ定期便。乗客215名、乗員67名を載せ、North Channel (ノース海峡)を速度 21ノット (時速39km)で航行していた。

 一方、潜望鏡だけを海面に上げ、水面下に姿を隠してノース海峡一帯をパトロールしていたのは、核弾道ミサイル「トライデント」を搭載した英国海軍の原子力潜水艦だった。

 その「司令室チーム (control room team)」は、潜望鏡でフェリーを確認し、フェリーとの距離は、9,000 -10,000yards (8,000 −9,000m)と判断していた。

 そして、どういうわけか、航海士は、フェリーの航行速度を15ノット (時速28km)と判断し、そのスピードなら 12分後には、6,000ヤードの距離に近づくと誤算。その時点で、原潜とフェリーとの距離は、安全圏にあると見なしていた。

 ところが、フェリーの実際のスピードは 21ノット (時速39km)。フェリーの見張員が気づいたときには、原潜との距離は50 -100m。まさに「目と鼻の先」にあった。

 フェリーの航海士は、船体を急旋回させて、なんとか衝突の危機を乗り来ったという。危機一発で、少なくともフェリーの乗客・乗員計282名の命は救われた。

submarine's periscope

 なお、この原潜のニアミス事件は2018年11月に起きたことだった。この度、ようやく、「The Marine Accident Investigation Branch (英国海洋事故調査局)」の調査報告書が公表され、事の次第が明るみになった。

 英国海軍の原潜は、それ以前にも、民間の船とニアミス事件を起こしていて、「The Stena Superfast Ⅶ」とのニアミスは、2015 -2018年の4年間で三度目だったそうだ。

 

おわりに:英国の最新型原子力潜水艦が、海上を航行する船の速度を誤ったり、民間の船と何度も、ニアミスを繰り返すとは、信じがたい。英国海軍もそろそろ潮時のときか。

 Scotlandは Englandからの独立を切望するが、それを難しくしているのが、実は、この英国海軍だ。Scotland西海岸には、その複雑な地形をたくみに利用した海軍基地 (原潜の母港)がある。これがScotlandに帰属したなら、Englandの誇る海軍は、丸腰同然になってしまう。

  (写真は添付のBBC Newsから引用)

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