誰もが、おれ様、殿様、セレブ気分:こうしてイジメが起きた! (RTE-News, June 29, 2020)
「セレブ気分が強くなって、人さまを見下し、他人の意見に耳を貸さず、自分の権利を盾に、自己主張する人間が増えた」 この時代に、職場で、同僚・上司、部下との ぶつかり合いがない方がおかしい。
そんな背景にあって、陰湿な「workplace bulling (職場イジメ)」が蔓延している。「加害者 (perpetrators)」は、堪(こら)えようもない激しい衝動に疼き、あらゆる機会をとらえては、「victimes (被害者)」を執拗にいじめる。ときに、職場イジメがセクハラ、パワハラの形態をとると、法的処罰の対象になる。
しかし、官公庁・企業の事業主 (組織の最高責任者) にとって、この職場イジメが極めて扱いにくい問題であるのは、そのイジメの多くは表沙汰になることがなく、ほとんどが、水面下で巧妙に、細心の注意を払って、密かに行なわれる点にある。たとえ、事業主が耳にすることはあっても、それは、ほんの「the tip of the iceberg (氷山の一角)」だ。
ただし、職場イジメが組織全体あるいは国に与えるマイナスの影響は莫大だ。被害者は、イジメを受けると、まともに仕事ができなくなるため、「productivity (生産性)」がガタ落ちになり、最終的に、どうしようもなくなって、経験を積んだ有能なスタッフが職場から抜ける事態にでもなれば、甚大な人的資源の損失となる。
なお、最近の「職場イジメ」に関する調査によると、Ireland(人口:約492万人)の労働者の10人に 1人がイジメを受けている。さらに、職場イジメに会って、仕事が手につかず、ムダに過ごした勤務日数は、Irelandの職場全体で年間約170万日。これによって、被(こうむ)る国の経済損失は、年間約 €239million (約292億円)。
また、被害者 (vitims)および事業体 (organisations)が受ける具体的な損害は、以下のとおり。
1.被害者 (victimes)の被る損害
1.1 Direct costs:直接的な損害
・loss of income:収入減
・medical costs:医療コスト負担
・legal costs:法廷闘争コスト負担
・early retirement:早期退職
1.2 Indirect costs:間接的な損害
・reduced well-being and quality of life:幸せな生活の崩壊
・poorer job satisfaction:仕事の満足度の喪失
・lost opportunities:チャンスの喪失
2.事業体 (organisations)の被る損害
2.1 Direct costs:直接的な損害
・sickness absences:病欠の増
・replacement costs:交代要員を探すコスト負担
・legal costs:法廷闘争コスト負担
・HR-related costs:人材関連コスト負担 (有能な人材の損失)
2.2 Indirect costs:間接的な損害
・adverse effects on bystanders or witnesses:傍観者・目撃者に与える悪影響
・reputational damage:官公庁、大学、企業のイメージの低下
・lower morale:モラルの低下
なお、新型コロナ感染拡大の予防対策の一環として、多くの官公庁、大学、企業では「テレワーク」を取り入れた。しかし、自宅で仕事をしていても、「職場イジメ」は、あいも変わらずに続いたとの調査結果が、報告されている。
では、どうすれば良いか (what to do about it)。
1. まず、第一に、事業主がやるべきことは、『組織 (organisations)が職場イジメを絶対に許さない』との姿勢、シグナルを、適切な機を捉えて、厳粛、厳正かつ公平に文書でスタッフ全員に提示すること。
2.次に、もしも、職場イジメが発覚した際には、『いつ、どのようにして、イジメが起きたのか』について、積極的かつ徹底的に調査し、被害者の救済と問題の解決に当たること。そして、事前に、職場イジメに対処する準備体制を整えておくことだ。(セクハラ、パワハラ対策と同じように)
おわりに:職場イジメ、セクハラ、パワハラは、いずれも悪質で許しがたい行為だ。しかし、トップが逃げていては、なにも解決しない。また。トラブルの処理に当たって「えこひいき」があってはならない。とくに、職場イジメは、人事係を含め、仕事の内容、職場、スタッフを熟知する専門家集団で対処することが望ましい。
(写真は添付のRTE Newsから引用)