コーンウォールの「無智びと」:がけ崩れの下で散歩、日光浴! (BBC-News, February 20, 2020)
「地震、落雷、火事、噴火」。どれも怖い災害だ。近年、これに「原発、津波、暴風、洪水にウイルス感染」が加わった。
一部の不心得な原発推進者が「ほぼ絶対に起こらない」と断言してはばかることがなかった原発でさえ、複数の事故を起こし、大惨事を招いた。
そして、「新型コロナウイルス感染」に関しては、政府・関係者が甘く見た。当初、専門家と称する人がTVに現われ、確かな科学的証拠に欠けるにもかかわらず、「感染力が弱く、致死率も低い」などと述べていた。
人間は危険・リスクに対して鈍感になっては、ならないのだ。
大雨が降って、川の水かさが異常な勢いで増しているとき、過去に氾濫がなかっと、のんびり構えていては、避難の機会を逃してしまう。また、裏山に異様な地響きがとどろき、山の斜面から小石がパラパラと落ち始めたら、土砂崩れの兆候だ。
こんな災害の前ぶれに、野に放たれた馬や家畜などが気づかないはずがない。その場から、とっくに逃れていることだろう。危険を察知する人間の感覚が鈍った。
この数十年、気候変動 (climate change)がもたらした異常気象、とくに暴風・大雨 (stormy weather and heavy rain) は、世界中の脆弱な地形 (海岸、河川、傾斜地など) に大打撃を与えている。
事情は UKの Cornwall (コーンウォール)とて同じだ。コーンウォール半島の北岸に位置するNewquay (ニューキー)の「Great Western Beach」、Dorstの「West Bay」、DevonのWatcombe Beach (ウォットクーム・ビーチ)などで、がけ崩れ (rock fall)が頻繁に発生するようになった。
2015年、「Great Western Beach」の道路沿いに面した斜面から約100トンの土砂が、一挙に崩れ落ちた。今、その現場には、「Cliff Fall (がけ崩れ)」に注意、立入り禁止」の警告版が掲げられている。
しかし、Cornwallには「quite foolish (途方もないバカ)」がいるらしい。風化して脆くなって崩れかけた崖(がけ)の下を歩いたり、崩れ落ちた岩に寄り掛かる人がいるかと思うと、崖の下で日光浴をする人さえ現われた。
バカ (foolish)とは、サンスクリット語「mahallaka (摩阿羅)」に由来し、その意味は「無智」。つまり、バカは僧侶が「無智びと」の意で用いた隠語だったとか。
Cornwall Council (コーンウォール州議会)は、人々に、危険な崖下には近づかないで「to act sensibly (分別ある行動」をとるようにと、注意を促している。
がけ崩れや海岸地形の侵食は、人間の力の及ばない自然現象 (natural process)。いつ、岩が落ちるかは、神のみぞ知るだ。
UKのEnvironment Agency (環境庁EA)は、今後100年を掛けて「Great Wetern Beach」の岸壁を 6m後退させる計画。
(写真は添付のBBC Newsから引用)