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風神が眠りから覚めた!:風力タービンがうなって、海は大荒れ (BBC-Science & Environment, November 18, 2019)

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 難破して海岸に打ち上げられた男が、やがて、意識を取り戻すと、海を罵(ののし)る。
『なんと、むごいことをするものだ。波一つない穏やかな海原(うなばら)に、船を漕ぎ出させたかと思うと、大波を起こして船を転覆させ、大勢の仲間の命を奪うなんて。』

 すると突然、海面から立ち上がり、空いっぱいにその姿を見せたのは、裸身の海の精。
『おお、海の男よ。私を責めないで。私は心優しい女。悪いのは風。風が私をそそのかし、心を狂わせ、暴れ回るように仕向けたのよ。』
                                                 [ The shipwrecked man and the sea: Aesop's Fables]

 そこで、男が風の責任を問うものなら、今だったら、風は、こんなふうに、言い返すだろう。
『なんと勝手なことを言う奴だ。好き好んで嵐を起こしたんじゃないわい。人間がつくり出した気候変動とやらで、こっちまでが気が変になっただけだ。』

 さて、現実の話題。
 1990年代、風力発電は、地球温暖化対策、再生可能エネルギーの中心的な役割を担うものとして大いに期待され、世界各地で風力タービンの建設が相次いだ。

 しかし、皮肉なことが起こる。地球全体が「terrestrial stilling (地上風の平穏化現象)」に巻き込まれ、1990年末期になると、地上風の速度が平均21%も減少してしまう。これによって、風力発電の能力は当初計画した値の約半分に低下した。

 ところが、Cardiff大学の Dr Adrian Chappellらの研究グループが、世界中の「ground weather stations (地上気象観測所)」(約9,000ヶ所)の気象データを分析した結果、2010年頃から、風の勢いが徐々に回復していることが明らかになった。
現在は最低レベルに達した時点に比べて 3倍以上の強い風が吹くようになったと言う。

 Dr Chappellによると、地上風の速度の周期的な変化は、海流と大気の循環それに都市化などの地表面の変貌が影響していると考えられると言う。
 このまま、風の速度の増加する傾向が続くと、2024年には、風力タービン1基で330万kwhの発電も夢ではなくなるとのこと。

おわりに:「風が吹けば桶屋が儲かる」と言ったが、今は儲かるのが、風力タービンを設置、管理する「電力関連会社」だ。強風が吹いて被害を被るのは、一般市民だが。 
                                                (写真は添付のBBC Newsから引用)

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