風力だって原子力に負けない:UK66万kW洋上風力発電が動き出す (BBC-News, September 6, 2018)
ライト兄弟 (Wright Brothers)が自作の飛行機に乗って空を飛んだのが1903年。あれから115年が過ぎた。今や、飛行機は人類にとって無くてはならない旅行・輸送手段となった。
その事情は、数十年前、再生可能エネルギーとして登場した風力発電にも当てはまるようだ。
当初は、環境問題に取り組んでいる姿勢をアピールしたい自治体や企業が、立地条件を十分に考えもせずに、こぞって、ごく小規模の風力発電の塔を次々に建てた。それは、ほとんど、人の目を引きつけるための「おもちゃ」のようなものであった。
風力発電が生み出す電力は不安定な上に、出力も火力・原子力発電に比べると格段に劣り、発電効率も悪く、同一エネルギー当たりの建設コストも高いとされた。原子力発電推進派 (多くの政治家,電力業界)は、実質的に地球温暖化防止に役立つのは原子力発電であり、最も環境に優しく安全で、低コストで発電できると嘯(うそぶ)いた。
ところが、Cumbria(カンブリア州)「Barrow-in-Furness (バロー・イン・ファーネス)」沿岸から 19km沖の「Irish Sea (アイリッシュ海)」に、広さ145km2 (サッカー競技場約2万ヶ分)の洋上風力発電「Walney Wind Farm」が建設された。高さ190mのタービン・タワーの数は189基、総出力は65.9万kW (659MW)。(ちなみに福島原子力発電第1号機の出力は46.0万kW、2号機は78.4万kWだった。)。総工費は約 £1bn (約1,500億円)。
「Walney Wind Farm」の出力は、2013年に操業を開始したKent沖の「London Array」の出力63.0万kWを上回り、世界最大となった。これでUKは、原子力発電と同程度規模の風力発電設備を 2ヶ所保有することになり、この分野では「世界をリードする地位 (global leadership position)を築いたと言える。
なお、風車のタービン・ブレードは「Hull」と「The Isle of Wight (ライト島)」の工場で製造された。今後、「Walney Wind Farm」の操業・メンテナンスのために、新たにおよそ250人が雇用される予定とか。
(写真は添付のBBC Newsから引用)