「長時間労働」:超短くて「脳卒中」、長いと「Karoshi (過労死)」 (BBC-Health, June 20, 2019)
「karate (空手)」、「karaoke (カラオケ)」、「kimono (着物)」は、「bonze (坊主)」とともに英語になった日本語。20数年前、カナダの友人に、その頃、国際的な流行語になった「karoshi」について尋ねられ、恥ずかしい思いをしたことがある。
COD (12ed.)は、その意味を次のように説明する。
・death caused by overwork. (働き過ぎによる死亡)
しかし、どんなに、「長時間労働 (long working hours)」、「過労死 (karoshi)」が社会問題になっても、厚生労働省はじめ諸官庁、企業各社の幹部は、まるで「ウナギ (eels)」のように、ぬらりくらりと身をくねらせ、「責任逃れ」、「名ばかり対応」に終始した。
長時間労働と言っても、明確な定義があるわけではないことを、良いことに........。
さて、Angers大学の Alexis Descatha教授らの研究グループが、フランスで働く労働者約143,000人の就労実態調査を進めた結果、長時間労働の人は、脳卒中 (stroke)の発症リスクが、普通の人に比べて29%も高くなっていることを発見した。
ただし、Descatha教授らが「長時間労働」と定義するのは、
・more than 10 hours on at least 50 days per year.
[ 1日10時間以上働く日が、年間50日以上]
1日8時間労働が標準的な働き方とすると、この「長時間労働」の基準は
・月の時間外労働:8時間強
となる。日本では、月45時間あるいは60時間以上の時間外労働が、かろうじて問題視されるなかで、フランスの、この「長時間労働」は、一体、何だろう。
計算間違いかと、なんども確認したほどだ。
しかも、日本に比べて、ほとんど「一桁低い」時間外労働でも、10年以上続けると、脳卒中の発症リスクは45% upに急増するという。
日本人は、どれだけ、気違いじみた働き方を強いられているのかが分かる。これまで、権力者にとって都合の良いことに、長時間労働と脳卒中、過労死との関係を科学的に証明することは、タバコの害と同じように、難しいことであった。
しかし、その不確かさを楯にとって、「karoshi (過労死)」に対し、まともに目を向けたがらない当局官僚・関係政治家。
「karoshi」の国は、「Mono-noke」の国だったのか。
(写真は添付のBBC Newsから引用)