肥満母ちゃんから生まれる子ども:糖尿病の発症リスク3.5倍増 (BBC-News, June 20, 2019)
『親の背中を見て、子は育つ』と言う。しかし、子どもが見ているのは、親の背中だけではあるまい。
親(おとな)が教育・勉強・本嫌い。なのに、タバコ・酒・ギャンブル大好きで、遊び好き。おまけにランチはドーナッツ、スイーツとくれば、その子どもは、親の「依存症的な品行 (addictive behaviour)」に、否応なしに引きずり込まれ、『子は親に似る』となる。
「貧困あるいは不健康な家庭 (deprived or ill-health family)」の子どもが、なかなか、その泥沼から這い上がれない事情がここにある。
さて、Edinburgh大学の Rebecca Reynolds教授らの研究グループは、Scotland北東部の港湾都市「Aberdeen (アバディーン)」で1950-2011年の間に生まれた新生児118,201人とその母親について調査した。
すると、調査の対象となった母親の4人に1人 (25%)が BMI≧25の「過体重(overweight)」で、10人に1人 (10%)がBMI≧40の「重症肥満 (severe obese)」だった。
さらに、その肥満の母親から生まれた子どもが、「type 2 diabetes (2型糖尿病)」を発症する確率は、普通体重の母親から生まれた子どもに比べて3.5倍。過体重の母親の子どもが2型糖尿病を発症する確率は1.4倍であった。
その上、太り過ぎの母親から生まれた子どもには、心臓病の罹患率が高く、早死(early death)する確率も高くなるなどのハンディが付く。(研究結果の詳細は「Diabetologia」に発表。)
なぜ、母親が太り過ぎていれば、生まれてくる子どもが糖尿病を発症するのか。残念ながら、その発症メカニズムについては、よく分かっていない。
しかし、一説によると、女性が太りすぎると、子宮内のグルコース、インシュリン、代謝産物 (metabolites)の濃度が高まり、胎児にとっては最悪の環境となる。これに誘発されて胎児の代謝プロセスが糖尿病に向かうのではないかと考えられている。
なお、最近の調査データによると、USでは妊婦の60%以上が BMI≧25の太り過ぎ。UKでも「childbearing age (出産適齢期)」の25-44歳に限ると、約60%がBMI≧25。
「肝っ玉母ちゃん」は良いが、「太っちょ母ちゃん」は困る。子どもが、一生、2型糖尿病、心臓病に脅かされて生きることになるなんて.......。母ちゃんには、痩せてもらわないと、先祖末代まで、糖尿病の家系になりかねない。
謝辞:この一文をまとめるに当たって、以下の優れた「Medical Xpress」の記事も参照した。記して謝意を表したい。
Medical Xpress: June 20, 2019
・Obesity in pregnant women associated with a 3.5-times increased risk of type 2 diabetes in the child
(写真は添付のBBC Newsから引用)