ヒロシのWorld NEWS

世界のニュースを日本語でお届け!

「Pubs (居酒屋)」は時代遅れになったか?:生き残りを賭けて! (BBC-News, January 8, 2019)

f:id:hiroshinews:20190124061003j:plain

 日本が貧しかった頃、どこにでも見かけた居酒屋の風景があった。
 夕暮れどき、村の小さな酒屋の店先に、日焼けした男たちが、1人2人と足を運ぶ。1日の仕事を終えて、その日の給金を手にした日雇いの大工や人夫が多かった。

 古びて、黒光りする「一合升」に、透明な清酒がなみなみと注がれると、男たちは、それを片手に、スルメなどをかじりながら、いかにも喜びに溢れた表情で、お酒を楽しんだ。しかし、大抵は、酒の肴 (さかな)など買う余裕がなく、小さな升の縁の一角に、器用に盛られた塩を、ときおり、舐めては、ちびりちびりと、大事な一杯を味わった。

 そんな村や町の居酒屋は、コンビニが現われると、跡形もなく消えた。
 「居酒屋 (pubs)」の事情は、イギリスとて、それほど変わらない。かっては、気心の知れた仲間が気軽に集まっては、時間の経つのも忘れて世間話に興じた「pubs (パブ)」。この10年で、イギリス全体では23% (11,00店舗以上)も、その姿を消した。 
 とくに、Scotland南西部のEast Renfrewshire (イースト・レンフルーシャー)とEast Ayrshire (イースト・エアシャー)の落ち込みが激しく、10年間で40%のパブが消えた。

 ところが、Scotland北部の「Highland」だけは、他の地区と違って、この10年間で、パブの店舗数が14%も伸びた。その理由は、主として、Americans, Germans, Spaniards, Frenchなどの観光客が「highland」に足を運ぶようになっためだと言う。昨年だけで推定650万人が、この地を訪れ、今では、観光(tourism)が地区の一大産業になった。

 パブの経営者たちも、観光客の「おもてなし (catering)」に懸命だ。Black Isle (ブラック・アイル半島)の小さな村「Munlochy (マンロチイ)」で、5年間パブを営むMr George Callumも、その1人。
 観光シーズン中は、steak nights (ステーキ・ナイト), karaoke (カラオケ), live music (ライブ・ミュージック)などを企画し、観光客が飽きないようにと知恵を働かせている。

 しかし、観光シーズンはともかく、客足が途絶える10月から翌年の3月までのオフ・シーズンは、どの店も一時的に閉店を迫られたり、地元人の支援を得て、何とかやりくりするのに精一杯。
 伝統的なパブが消えてゆく最大の原因は、この「an age of uncertainty (不確実性の時代)」にあると指摘する。先行きの見通しが立たない今、若い世代にとって、財布の紐を固くするしか、自衛の方法はなく、パブでお酒を飲む余裕などまったくないのだ、と。

www.bbc.com