今後2,3ヶ月に発生する確率75- 80%:WMOのエルニーニョ予想 (BBC-Science & Environment, November 27, 2018)
今ではすっかりお馴染みになった「El Niño (エルニーニョ)」。元々はスペイン語で「幼子 (おさなご)イエス・キリスト」のことだ。それがエルニーニョと言えば、気象学の「エルニーニョ現象」を指すようになった。神の名で呼ばれるにもかかわらず、近年、ヒトに与える被害・影響は少なくない。
そもそも、エルニーニョが生まれる原因は、大気循環の乱れにある。太平洋を東から西に強く吹き抜ける貿易風が、駄々をこねて、怠けることがある。すると、南米アルゼンチン沖の熱帯太平洋東部で暖められた海水が、西に流れなくなり、熱帯太平洋の東部・中央部の海上の温度が上がり続ける。これが「El Niño (エルニーニョ)」だ。
2015年12月に発生したエルニーニョは、年が明けた2016年、世界各地に干ばつ、洪水の被害や、「珊瑚礁の白化 (coral bleaching)」を招いた。
あれから、3年が経過した今年12月。どうやら、また、エルニーニョが発生しそうだ。
「The World Meteorological Organization (世界気象機関WMO)」によると、この10月以来、熱帯太平洋の東部・中央部の海水面温度が徐々に上がり出し、「弱いエルニーニョ」が形成されている。WMOは、今後3ヶ月 (2018年12月から2019年2月) の間に、「Fully fledged El Niño (十分に発達したエルニーニョ)」が発生する確率は75 - 80%と発表した。
「The Australian Bureau of Meteorology (オーストラリア気象局)」も、ほぼ同様の見方をしており、この12月にエルニーニョが始まると予想している。
また、USの気象予報官も、来年の1月中にエルニーが発生する確率は90%とする。
ただし、WMOは、そのエルニーニョの最終的な発達規模を、2015年ほどではないと見る。そうは言っても、エルニーニョは「El Niño」だ。一度発生すると、世界中の天候に大きな影響を及ぼす。降雨量、気温に異常を招き、農業、食糧安全保障の他に、水資源や公衆衛生にまで計り知れないダメージを与える恐れがある。
どうやら、2019年の「亥(い)年」は、2018年以上の大雨・洪水、台風の被害、それに野菜・食品の高値は避けられないようだ。
(写真は添付のBBC Newsから引用)