走れバイソン、ロッキーの山々に地響きを!:勇猛果敢さを見せよ (BBC-News, February 6, 2017)
北米大陸の西にそびえるロッキー山脈はまさに雄大。その地に立つと、自然のスケールの大きさと懐(ふところ)の深さに圧倒される。かって、ロッキー山脈東側に広がる台地「Great Plains」一帯には 3千万頭の Bison (バイソン) が地響きを立てて走り回っていた。
その頃のバイソンは野生に君臨する草食動物 (dominant grazers) であり、勇猛果敢な、この動物の気質は、カナダ先住民 (Indigenous Canadians) の誉れであり、象徴であり、あこがれであり、精神的な拠り所であったに違いない。
カナダ先住民の暮らしは、このバイソンとともにあり、「clothing (衣)」、「food(食)」、「shelter (住)」の全てをバイソンに依存していた。
それが、1800年代、ヨーロッパからの移住者が本格的に北米へ流れ込むと、銃を持ち込んで、バイソンを乱獲し、殺戮の限りを尽くした。一説には、先住民を兵糧攻めにする目的もあったと言われている。
その結果、わずか 100年足らずの間に、バイソンは絶滅 (extinction) 寸前にまで追い込まれた。
むろん、カナダ先住民の暮らし、文化もことごとく破壊され、先住民は白人移住者に屈することを余儀なくされる。暗く、悲しいカナダの歴史だ。
それから 100年以上の月日が過ぎた。
ようやく、バイソンの個体数を増やす長年の努力が実り、この度、カナダ政府は、Alberta (アルバータ州) の「Banff National Park (バンフ国立公園)」内に設けた「enclosed pasture (牧草地の囲い)」に、16頭の「Plains Bison (プレーンズ・バイソン)」を放すことができた。
はたして、バイソンの草原を走り回る地響きが、再び、ロッキーの山々に響き渡る日は来るだろうか。
(写真は添付のBBC Newsから引用。)