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植物と人間の知恵比べ:片や、遺伝子コードを盗んで対抗  (BBC-Future, February 6, 2017)

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 人間が「熱い!」と感じるのは、皮膚に張りめぐらされた末梢神経に秘密がある。もちろん、そこでは触覚も働くが、神経細胞に埋め込まれた特殊なタンパク質TRPV1が熱感覚の重要な役割を果たす。TRPV1は神経組織のイオンチャネル (ion channels) で、「threshold (閾値)」42℃を越えると活性化され、その信号を脳に送って「熱い!(Ouch!)」となる。
 逆に、「冷たい!」と感じるセンサーの役目はタンパク質 TRPM8 が担う。ただし、冷たさのレベルが「extremely cold (極度に冷たい)」になると、TRPA1 の出番となる。

 温度感覚は、ときに狂うことがある。それは、日焼け (sunburn) がひどくて皮膚が炎症 (inflammation) を起こしているようなときだ。この場合、炎症によって TRPV1 の感度閾値が下がるため、「ぬるめのシャワー (lukewarm showers) 」を浴びても「熱すぎる(excruciatingly hot) 」と感じてしまうという。

 このタンパク質レセプター TRPV1 は、42℃を越える熱の他に、唐辛子 (hot peppers)に含まれる「capsaicin (カプサイシン)」によっても活性化されることが分かっている。唐辛子を食べると、体が燃えるように熱くなるのはこのせいだ。なお、TRPV1 は「Wasabi receptor (わさびレセプター)」とも呼ばれ、わさびにも「eye-watering (目から涙が出るほど)」の辛さ成分が含まれている。
 また、TRPM8 は、ハーブ・ミントに含まれる「menthol (メントール)」によっても活性化されるため、これを食べると清涼感が得られる。

 ではなぜ、このような植物 (plants) に、人間の温度感覚をコントロールする化学物質(chemical compounds) が存在するのか。
 Washington大学の Ajay Dhaka 准教授によると、植物は、これを食べる人間その他の動物から自分を守ることができるように「進化 (evolution)」したという。「全くの偶然によって (by merely happenstance)」植物は、人間の温度感覚レセプターの遺伝子コードを盗み取り (hijacking)、気の遠くなるような年月を掛けて進化した結果、セプターを活性化させる物質の合成に成功し、敵に備えて武装したのだ。これで、どんなに貪欲な人間でも、ガツガツ (gobbled up) とは食えなくなった。

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 まさに、それは、植物とこれを食する側との戦いが、何百万年もの間、繰り広げられた証 (あかし) であった。

  BBC reporter の Mr Jason G. Goldman は、「この勝負、人間側にありそうだ」と記事を結ぶ。人間は香辛料としての使い道を考えたからだ。
 しかし、はたして、どうだろうか。チリ・ペッパーを食べ過ぎて、お腹をこわしたら、それは植物側の勝利となるのでは。
                              (写真は添付のBBC Newsから引用。)
        

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