天空の金(gold)に夢を探して:神はラ・リンコナダを救えるか? (BBC-Travel, October 5, 2016)
かって、高い塔や、標高の高い山は、神に近い場所と信じられ、崇められた。
しかし、ペルー南端のアンデス山中にあって標高5,100mの小さな町「La Rinconada(ラ・リンコナダ)」。ここは、まるで神から見放されたような様相を示す。水道 (running water) はおろか、下水設備 (sewage system) も簡易の公衆トイレ (public latrines) もない。
夏は雨が多く、冬は凍えるような寒さが襲う。高山病 (altitude sickeness) 特有の疲労感 (exhaustion)、頭痛 (headackes)、目まい (dizziness)、吐き気 (nausea)、不眠症(insomnia) に悩まされる。それでも、荒くれ男たちは、この町に群がる (flock)。目当ては金(gold)。
このところの金価格の上昇により過去 5年間で、人口は 2倍に膨れあがり、およそ5万人を数えるまでになった。
町のすぐ近くの金鉱山では、未だに、水銀 (mercury) を使った金の抽出法が採用されているため、住民が水を汲む湖は水銀で汚染されている。
さらに、町と鉱山を結ぶ道の周辺はゴミ (rubbish)であふれ、不衛生な環境 (unsanitary conditions) と劣悪な天候 (inclement weather) のせいもあってか、住民の間には「acute respiratory infection (急性呼吸器感染症)」、「diarrhoeal infection (下痢性感染症)」が蔓延している。
苛酷 (harsh) なのは、自然の厳しさや病気だけではない。この地方の伝統的な労務システム「cachoreo (カチョレオ)」が追い打ちをかける。鉱山に雇われた男たちは、30日間、給金なしの「ただ働き (woriking for free)」を強いられ、31日目になって、ようやく1~2日の間だけ、自分で背負える分量の採掘を許される。それが 1ヶ月分の給料代わりだ。もちろん、掘り取った鉱石に金が入っているかどうかは、運次第。
酒と女と喧嘩 (brawl) 以外に「うさ晴らし (comfort)」など見つけようもないラ・リンコナダは、「野郎どもの世界 (land of mailes)」。酔っぱらいの騒ぎや殺傷事件が日常茶飯事の無法地帯(a lawless world)だ。
男たちは、この町で体を壊すか、鉱山の落盤 (cave-ins) などの事故に遭い、その寿命を短くしている。
なお、この町には「pallaqueras (パラクエラス)」と呼ばれる女性の鉱山労働者 (femail gold miniers) 約700人も暮らす。ただし、女性は「不運を招く」として、坑内に入れないため、もっぱら、男たちが外に捨てた廃石 (tailing) をあさり、わずかばかりの金鉱石のかけらを見つけては、かろうじて命をつないでいる。
山の上の住民は、みな貧しく、もっと「ましな生活(a better life)」を夢見て集まった人々だ。天は、その近くまでたどり着いた人たちを救えるであろうか。
(写真は添付のBBC Newsから引用。)