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「魔の山 K2」の無酸素 冬季登攀に挑戦した男:アリ・サドパラ (BBC-News, Feb 13, 2021)

Sadpara on Ghondogoro Pass 5,620m on July 16, 2012

 「なぜ山に登るか」。この答えは、山に登る人によって違うだろう。しかし、山岳ガイド兼ポーター Ali Sadparaにとって、山に登るのは暮らしの糧(かて)を得るためであった。

 Ali Sadparaは、1976年、パキスタン最北部「Himalayan Baltistan region (ヒマラヤ・バルチスタン地域)」の谷間にある小さな村「Sadpara (サドパラ)」に生まれた。

 

 村人の主な収入源は畜産 (livestock farming)であったが、西側諸国からヒマラヤに押し寄せる登山家や旅行客を相手に、若者たちはポーターの仕事にありつくことができた。

 Ali Sadparaも 27歳頃から山に登り始める。そして2017年、標高8,125m、世界第 9位の山「Nanga Parbat (ナンガ・パルバット)」の冬季初登頂に成功する。

 その後も、登山を続け、世界の 8,000m級の山 14のうち 8つの山頂を踏んだ男として名を馳せる。

left to right: Ali Sadpara, Jon Snorri and Sajjid Sadpara

 名声が不可能への挑戦に掻き立てたのだろうか。Ali Sadparaは、登頂が難しく、多くの登山家の命を奪って来た世界第 2位の山「K2」に挑んだ。標高 8,611mの「魔の山」、「死の山」として恐れられているK2に、アイスランドの登山家 John Snorriのポーターとして、チリ人の Juan Pablo Mohrとともに K2の山頂を目指した。

 3人は無酸素冬季登攀の記録をねらったのだ。

Route stops on K2

 しかし、2月 5日(金)、Ali Sadparaの一行が消息を断つ。パキスタン軍は「C-130 Hercules」を飛ばし、救助チームを編成して探索、救助に当たるが、それらしき痕跡を見つけることができなかった。

 

 この時期の K2の山頂の気温は -80℃。しかも酸素が薄い。どんなに屈強な登山家といえども、1週間も生存することは不可能だ。

 

 Ali Sadparaと一緒に K2に登り、途中で引き返した息子の Sajid、それにヒマラヤの村人は「miracle (奇跡)」が起きることを信じ、村の英雄の帰りを待っているという。

 

おわりに:冒険家の宿命としか言いようがない。その物語の最終ページが「ハッピーエンド」で終わることは少ない。何かに取り憑かれたように、「もっともっと」と先に進んで、行っては行けない場所にまで、足を踏み入れてしまうためだ。

                        (写真は添付のBBC Newsから引用)

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