痩せっぽと太っちょ:老化が早いのはどっち (BBC-Health, August 4, 2016)
漢字の「老」は、「腰が曲がって、杖をついた人の姿」を象形化した文字。したがって、文字通りに捉えると、老化 (aging) とは、その姿に近づくことだ。ただし、老化のスピードは、人によって違う。「Neurobiology of Aging」に発表された論文はユニークだ。
Cambridge大学の Dr Lisa Ronan らの研究チームは、20歳から 87歳までの住民 473人の脳を調べた。人は年をとるにつれて、大脳皮質内部の「白質 (white matter)」が失われて行く。この部分は、情報の伝達の役目を担う大事な脳組織だ。
次に、被験者全員の脳の断層画像データを、「痩せっぽ組 (lean group)」「と太っちょ組 (overweight group)」に分けてみると、驚くべことが明らかになった。
太っちょ組の脳内白質が、痩せっぽ組に比べてかなり (significantly) 少ないのだ。とくに、50代の太っちょ組の脳は老化が進み、痩せっぽ組の 60代とほぼ同じ。
このことは、「中年世代の脳 (middle-aged brain)」がとりわけ脆弱 (vulnerable) になっている可能性を示す。
ただし、知識・理解度に関しては、両グループの間に差が認められなかった。したがって、脳内白質の損失が、直ちに認知症 (dementia) に結びつくとは言い難いようだ。
また、減量に成功すると、一度失った白質がもとの状態に復元するのかについても、現在のところ不明だ。
人の脳が、体重 (weight) や食生活 (diet)、運動 (exercise) によって何らかの影響を受け、それが老化のスピードまでコントロールしているのか。研究は、まだ、スタート地点に立ったに過ぎないという。
(写真は添付のBBC Newsから引用。)