「パズル」を解いても:脳の老化は止まらない! (BBC-Health, December 12, 2018)
毎日の暮らし・人生(daily life)は、過ぎてしまえば一瞬のことだ。しかし、そのまっただ中を必死で駆けているときは、時間の経つのが結構遅い。それに、苦境に立たされることも多い。そんなとき、イギリス人は、少々古風だが、「Use your loaf! (頭を働かせろ)」と言った。
どうすれば、「predicaments (ピンチ)」から抜け出せるか。まさに、ヒトが、その「brain function (脳機能)」を発揮する真骨頂のときだ。
ところが、体の筋肉も頭も「Use it or lose it. (使わないと、すぐに錆びてしまう)」。筋肉はともかく、頭が錆びて「dementia (認知症)」もどきになっては、頭を働かせようにも、使いようがなくなる。
かって、パズルが推奨された。脳の老化を防ぐ効果があると言うのだ。しかし、本当に効果があるのだろうか。その科学的な根拠は存在するのか。
この疑問を抱いた Aberdeen大学の Dr Roger Staffらの研究チームは、年齢とともに低下する人間の「cognitive ability (認知力)」を、どのような「intellectual engagement (知的な取組み)」によって食い止めることができるのかについて調べ、その研究結果を医学雑誌「BMJ」に発表した。
被験者は1936年に生まれ、11歳のときに「intelligence test (知能IQ検査)」を受けた498名。被験者全員がおよそ64歳になった時点で実験が開始された。15年間にわたって、パズルをはじめ、脳の活性化に役立つとされる種々のことをやってもらい、実験期間中、約3年おきに5回、被験者の「memory (記憶力)」、「mental-processing-speed (認知処理速度)」が調べられた。
さて、その結果だ。結論を一言で言うと、『パズルを解いても、脳の老化防止に効果なし』。パズルに凝るよりも、常に楽器を演奏したり、キルトの制作や、ガーデニングで汗を流す方が「brain function (脳の機能)」を若々しく保つことができるという。
ただし、なぜ、そのような結果になるのか、その「causal link (因果関係)」については、明らかにすることができなかった。
むすび:パズルやスマホ・ゲームでは、脳の老化を食い止めることができない。ごく当たり前のようだが、「intelligence activities (知的活動)」とは、指先だけを動かしては「activities」にはならない。ましてや、他人と口も聞かない、若い人の「1人遊び」は、将来の「dementia(認知症」のリスクを高めるだけだろう。
(写真は添付のBBC Newsから引用)