堕落したコウノトリ:堕落させた人間 (BBC-Earth, March 19, 2016)
この世に赤ん坊を運んでくるのは、コウノトリ (white storks)。また、コウノトリが屋根の上に巣を作る家には幸せがやって来ると、言い伝えられた。
ところで、コウノトリは、「Aesop's fables (イソップ寓話)」の「The Flogs asking for a King (王様をせがんだ蛙たち)」に、「情け容赦のない王 (the harsh ruler)」として登場する。
その昔、とある池に沢山のカエルが住んでいた。みんな勝手気ままで、やることなすこと、てんでにばらばらの振る舞い。さすがのカエルたちも、これではいけない、と気づいて、全能の神ジュピター (Jupiter) に王様が欲しいと願い出る。
ジュピターはこれを聞き届け、池に 1 本の丸太を放り込んでやる。カエルたちは、これを恐る恐る見守っていたが、やがて、動きもしない丸太をバカにし始め、ついには、丸太が王様の役目を果たせなくなってしまう。
そこでカエルたちは、また、ジュピターに願い出る。今度は、もっと動き回る王様が欲しいと。わがままで、しつこくせがむカエルたちに、業を煮やしたジュピターが、池に送り込んだのは、1 羽のコウノトリ (storks) だった。
コウノトリは、池に着くなり、片っ端からカエルたちを食ってしまったという。
[ When you desire to change your condition, make sure that you can really improve it. ]
さて、現代版のコウノトリの話しも無慈悲 (harsh) だ。場所はポルトガルの「ゴミ捨て場 (landfill sites)」。
ポルトガルのコウノトリは、冬になると暖かいアフリカを目指して移動してきた。その「渡り (migration)」は、数百年にわたって、ずっと目にすることができたコウノトリの習性であった。しかし、この 30 年間、冬になってもアフリカに渡らず、ゴミ捨て場の近くにコロニーを作って、住み着くようになってしまった。
コウノトリの個体数も、20 年前に比べて 10 倍に膨れあがり、今では 14,000 羽を数えるまでになった。
確かに、ゴミ捨て場を住みかにすると、人間の食べ残し (leftover) がどんどん運び込まれ、その中には、「油っこくて、栄養満点のごちそう (fatty, nutritious rubbish)」がいっぱい。それに「junk food」にだって、ありつける。
この餌場でたむろし、すっかり堕落したコウノトリ。けれど、この光景もそう長くは続かない。
まもなく発効される「The European Union Landfill Directive (EU埋立処分法)」によって、ゴミはリサイクルに回され、ゴミ捨て場は「ゴミ処理施設 (waste processing facilities)」にと変わる予定だ。
"They will either revert to their usual foraging stratifies, feasting on small insects, ore some may starve."
[ コウノトリに残された道は 2 通り。どこか、他の土地でこれまでどおり、ゴミをあさり続けるか、小さな昆虫の餌に目を向けるかだ。それが嫌なら、飢え死にするだけ。]
自然の生態を壊し、気高いコウノトリを堕落させてしまったのは、決してカエルではない。なんとも無情なことをしてしまったものだ。
(写真は添付のBBC Newsから引用)