約10,000年前、カボチャを耕作:それはアマゾンの民だった! (BBC-Science & Environment, April 8, 2020)
今からおよそ12,000年前、それまで、地球全体をすっぽり覆っていた氷が、徐々に融け始めた。しだいに気温が上がって、その最終氷河期を生き延びた人類は、狩猟採集から農耕へと生活の基盤を変え、やがて「civilisation (文明)」を興すようになる。
これまで、農耕の発祥の地と言えば、以下の 4生産地とされて来た。
・中東:大麦、ライ麦
・中央アメリカ・メキシコ:トウモロコシ
・南米アンデス地帯:ジャガイモ、キノア
・中国:米
ところが、スイス Bern大学の Dr Umberto Lombardoらの研究チームは、アマゾン熱帯雨林の中にも、農耕の発祥の地があったと「Nature」に発表した。
その地はボリビア北部に位置する「Llanos de Moxos (リャノス・デ・モホス)」。この一帯は、雨季になると水没するサバンナ地域だ。しかし、所々に、木々に覆われた小山が点在する。その数約4,700ヶ。
Dr Lombardoらが、その小山から採取した土壌サンプルを詳細に調べ、約10,000年前、すでに、キャッサバ、カボチャ、トウモロコシなどが、先住民によって栽培されていた事実を突き止めた。
その決め手(証拠)となったのは、植物細胞に含まれる微細なガラス質の「phytoliths (フィトリシス、プラント・オパール)」。この植物珪酸体は、植物の種類によって、形が異なり、しかも腐敗することはない。植物種の同定に使用されることが多い。
アマゾン川流域の先住民は、氷河期が終わると、何世代にもわたって、洪水に見舞われても作物が無事な、その小山を創り上げ、耕作を続けて来たと考えられるという。先住民にとって、その小山 (small mounds)は、「rubbish (生ゴミ、糞尿)」捨て場であり、耕作地でもあった。
江戸時代、江戸の各長屋から排出される「人糞」は、近辺の百姓にとって、貴重な「下肥(しもごえ)」だったことから、アマゾンの先住民の知恵は、十分に納得できる。
(写真は添付のBBC Newsから引用)