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異常気象:やがて深刻な食糧不足に (BBC-Science & Environment, August 14, 2015)

http://ichef.bbci.co.uk/news/736/cpsprodpb/183F5/production/_84871399_e1470103-drought-damaged_crops-spl-1.jpg

 人は、常に何らかのリスク(risk)にさらされている。現在世界中の人に共通した、病気以外の重大なリスクあるいは脅威(threat)は、「テロ(terror)」、「エネルギー危機(energy crisis)」、そして「食糧危機(scarcity)」の3件か。互いに関連がないように見えるが、問題点をよく分析すると、そこには互いに絡み合った背景が浮かび上がる。

 表題の記事は、はじめに「食糧危機」に焦点を当てる。
 食糧危機の最大の原因は、何と言っても、気候変動(climate change)がもたらした異常気象(extreme weather events)にある。歴史上では、かって日本でも「天明の大饑饉(1782)」などで、社会とりわけ貧困層はたびたび「餓死(starving)」に追い込まれた。そのような天災はこれまで100年に一度と言われてきた。

 しかし、今後は気象の異常さ故に、事態は変わると研究者は見る。
 2040年までに、深刻な食糧危機(production disruption)が30年に一度の確率で発生する可能性を引き出し、さらに2070年以降になると、穀物生産量が10%も落ち込むような不作は、10年間で7回と、その頻度が急増すると予測する。
 
 一方、「国際連合食糧農業機関(The UN's Food and Agriculture Organization, FAO)によると、世界の人口増加がこのまま続くならば、2050年には、食糧の需要が60%増になるという。ところが、不幸にして、人類が凶作(poor harvests)に遭遇したとき、迅速にこれに対処できるか。極めて難しいのが現状だ。

 では、その凶作に備えた備蓄策はどうか。残念ながら、これも見込み薄。
 現在、世界の穀物市場を動かしているのは、米商社「カーネギー」などグローバル貿易(global trade)に終始する「穀物メジャー」の5社と、これに群がる株取引業者。
 食糧不足がまん延する中で、世界が「備蓄(grains stock)」に入るならば、食糧不足の深刻度が増し、食糧価格の上昇を招くだけだ。
 とくに、経済基盤の弱い(vulnerable)サハラ以南のアフリカ諸国(in sub-Saharan African)では、食糧価格が50~100%の増となった場合、ほとんどの人は経済的に持ちこたえられない(untenable)という。

 さらに、事態を複雑にしている要因(factor)は「バイオ燃料(biofuel)開発」。エネルギー供給の一面だけに着目し、農地をバイオ燃料生産工場に変えた結果、農民は、農地を失い、伝統的な自給自足の文化と生活基盤を失い、商業主義に翻弄されている。
 農民に、長期的な豊かさが約束されているとは、とても思えない。

 「食う」に困るような貧困(poverty)は、何をもたらすか。ヨーロッパの国境では難民が、まるで津波のように押し寄せ、また、一部はテロ集団に加わるような社会状況が発生する。みな、現状から逃げたい一心の人々であるに違いない。

 そもそも、異常気象の凶暴さを加速させている最大の要因は、「CO2」。今や、これを疑う人は少ない。しかし、自国の経済活動に支障を来たすことを恐れてか、政治経済団体の圧力を恐れてか、責任ある主要国は、CO2排出規制に尻込みするか、「言い分け」、「口実」探しに夢中になるばかり。

 人類の進化(evolution)では、脳神経が創り出す「ethics」に異常があったようだ。

                       (写真は添付のBBC Newsから引用)

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