天文学上の新発見情報:太陽に約1年周期の季節変化を確認
地球が太陽の周りを1周すると、1年が過ぎる。その間に温帯地方の天候は春、夏、秋、冬と移り変わり、これを季節と呼ぶ。ところが、表題の記事は、太陽にも季節性が確認されたという内容である。天文学者の粋な「季節」の言葉の使い方には感心する。もちろん、太陽に文字通りの四季があるはずはなく、ここでは、太陽の見かけ上の1年 (11年の太陽活動周期)の間に、四季に類似したメリハリのある活動変化が現れることを意味する。
宇宙が、万物をつくりあげる創造の神あるいは母であるとすれば、太陽は太陽系の心臓のようなものだ。地球上のすべての生命体にエネルギーを送り込んでくれる。太陽の中心部では、高密度のプラズマ(荷電粒子)状態で、水素H2が ヘリウムHeに変換される核融合反応(fusion)が進んでいると考えられている。この反応によって膨大なエネルギーが生み出されるのだ。さて、太陽の活動状態は、黒点の出没に見られるように常に一定したものではなく(黒点の増減は11年周期で変化する。)、ときに宇宙天気の擾乱を引き起こす。
次に、天文学上の新発見の具体的な説明である。
太陽の上半分と下半分(北半球と南半球)にそれぞれ1本の帯状(はちまき状)の強力な磁場が存在し、この2つの磁場が波となって伝搬する。波は互いに干渉し合うため、結果的に、強力な帯状の磁場は330日周期の「季節変動」を繰り返すことになるというのだ。さらに、この変動がコロナの不安定化を誘発し、引いては、地球に磁気嵐が襲いかかり、人工衛星に積載された電子機器やGPSなどが影響を受けることにつながる。報告された研究論文は、今後の、より正確な宇宙天気の予測のために極めて有用とされる。
解説:季節変動(Seasonal Pattern)
ビールの生産量や樹の生長などに関する時系列データが季節によって変動することは、容易に理解できることだ。季節変動は季節指数(Seasonal Index)として解析され、予測工学(Forecasting)では種々の計算方法が提案されている。
(写真は)添付のScieTec Dailyから引用)