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「えんぴつの芯」で一杯だった:水星の地表 (BBC-Science & Environment, March 7, 2016)

 

http://ichef.bbci.co.uk/news/695/cpsprodpb/115C8/production/_88621117_88621116.jpg

 水星 (Mercury) は、太陽系 (solar system) の中で太陽に最も近い軌道を周回する惑星。その公転周期は約 88 日で、地球の約 1/4 で太陽を一周する。「素早く動き回る星」と見た古代の人は、ローマ神話の俊足の神「Mercrius (メルクリウス)」に因んで「Mercury」と名付けた。
 「Mercrius」は、ギリシャ神話の「Hermes (ヘルメス)」にあたり、神々の使者であり、商業 (trading) の神でもある。翼 (つばさ) の生えたサンダルを履き、翼をつけた帽子を被り、手には、2 匹のヘビが巻き付く「caduceus (使者の杖)」を握る。

 その水星が太陽に余りにも近いため、観測が難しく、よく分からないことが多かった。
 昨年 5 月に NASA の宇宙探査機 (spacecraft)「Mercury Messenger 」が地球に送った映像写真によると、その地表面は黒っぽい物質で覆われていた。

 Johns Hopkins 大学「Applied Physics Laboratory (応用物理学研究所)」のPatric Peplowski らの研究チームが、「Messenger」の観測データを解析したところ、その「まっ黒い物質 (darkest staff)」は、何と、「鉛筆の芯」と同じ素材の「黒鉛(graphite)」。

"Like Earth's Moon and the other inner planets, Mercury likely had a global magma ocean when it was young and the surface was very hot."
"As this magma ocean cooled and minerals began to crystallise, minerals that solidified would all sink with the exception of graphite, which would have been buoyant and would have accumulated as the original crust of Mercury."
"But this primordial curst was obscured by later volcanism and other geological processes."
"Some of this carbon-rich material would then have been mixed into the overlying rocks to cause a global darkening of Mercury's surface."

[ 地球の月や太陽系の他の惑星と同様に、水星もまた、その誕生期には、全体が高温のマグマの海で包まれていたと考えられる。]
[ マグマが冷却し、鉱物の結晶化が始まると、固化した結晶が全て深部に沈み込む。このとき、軽いグラファイトは浮力を受けて、地表に取り残され、水星の原始の地殻が形成された。]
[ ところが、この原始の地殻は、その後に起こった火山活動や地質変動によって不明瞭なものになった。]
[ 炭素をふんだんに含んだ地殻の一部が、その下の岩石層と混じり合って、現在の水星の地表のような、黒っぽい色に変色したものと思われる。]

 これが、地球物理学者の説く、足が速く、日に焼けてまっ黒になった「Mercury(水星)」誕生のシナリオだ。

  なお、研究内容の詳細は「Nature Geoscience」に発表された。


                                   (写真は添付のBBC Newsから引用)
                     

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