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花粉症のアレルゲンDNA解析:言い逃れができなくなる! (BBC-News, June 21, 2020)

Trees, grass and weeds all produce pollen that can cause hay fever

 花粉症 (hay fever)はつらい。はじめは眼が痒(かゆ)くなる。次にくしゃみ、鼻水が襲って、ティッシュの箱が離せなくなる。その後、一転して、鼻詰まりに苦しみ、最後は、喉の不快感と咳(せき)に悩まされる。まさに「踏んだり蹴ったり」とは、このことだ。

 花粉アレルギーのアレルゲンのほとんどは、スギや、カモガヤ・ヤナギガヤなどのイネ科雑草の花粉だ。厚生労働省によると、花粉症の約70%はスギ花粉症。その原因は、杉材の価格が急落し、間伐はおろか、スギそのものが伐採されずに、増えすぎたことにある。

 また、全国の道路建設に当たって、法面(のりめん)の土留めに「カモガヤ」を張ったことも、花粉症を広げた原因だ。この雑草が周辺に増殖し、手が付けられないほど環境を悪化させた。

 したがって、スギ花粉症もカモガヤ花粉症も、林業・土木工事関係者の責任は大きい。 

 ところが、花粉症問題の責任追求は、思うように進まない。因果関係を立証するのが難しいとされる。大気中から採取した花粉は、高精度の顕微鏡で覗いても、植物の種を特定するのは極めて困難。

Collection traps have been deployed across the UK to capture pollen

 しかし、WalesのAberystwyth (アベリストウィス)大学とBangor (バンガー)大学は、花粉の DNAを解析することによって、植物種を特定する研究に取り組んでいる。どの樹木・雑草が、いつ花粉を飛ばすのかを突き止め、そのデータを病院のカルテに照合して、花粉アレルギーの因果関係と予防策を明らかにしようとする試みだ。

 UKで花粉アレルギーに苦しむ人は約1,300万人。症状が悪化すると、仕事が思うようにできなくなり、生産性が落ちる。その経済損失は、年間約 £7bn (約9,200億円)。これに、抗ヒスタミン剤 (ani-histaminses)などの医療費を含めると、国全体では、おそらく数兆円規模の損失になると、推定される。

 

おわりに:ごく限られたデータから察するに、日本では現在少なくとも5,000万以上の人が、なんらかの花粉症に苦しんでいる。花粉アレルギーの原因が明らかで、医療財政の大きな負担になっているにもかかわらず、当局の対策は花粉症の現状調査どまりだ。そこには積極的な解決努力が認められない。これでは、薬局と医療関係者が嬉しい悲鳴をあげるだけだ。

           (写真は添付のBBC Newsから引用)

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