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インベーダー「バックソーン」を必殺:春と秋に光を絶て! (BBC-Sci & Env, May 2, 2020)

Common buckthorn (Image: Matt Lavin/Flickr)

 我がまま、不埒(ふらち)で無知。その上、軽率な「ヒト属 (Homo)」は、ときに、とんでもないことをしでかす。

 その昔、暇と金を持て余した一部の「horticulturist (園芸家)」もそうだった。日本から「イタドリ (Japanese Knotweed)」を持ち出して、自宅の庭に植え付けたイギリス人がいた。その後、イタドリは暴れだし、またたく間にイギリス全土に広がって、歴史あるレンガの建物を次々に破壊した。

 そして、1880年代のことだ。また一人軽薄な人間が現われ、今度は「common buckthorn (クロウメモドキ)」学名「Rhamnus carthrtica」を観賞用として北米大陸に持ち込んだ。その黒い実は小鳥が大好きな、ユーラシア原産の低木だった。当初は珍しかった「buckthorn」は、その後、垣根や農地の風よけとして植えられるようになる。

 ところが、その結果、US, Canadaで大繁殖し、北米大陸の在来植物種は駆逐されたばかりか、森の土壌・生態系が破壊され、農家は、この外来種に寄生するカビのせいで「oat crown rust (エンバクさび病)」[Puccinia coronata]に悩まされる羽目になった。

 一旦、野生化した外来種は恐ろしい。これを一本いっぽん引き抜いて駆除するなど、並大抵のことではない。それに、小鳥がその種子を運んで、どんどん広がっていった。

 そこで、Minesota大学の Dr Michael Schusterらの研究グループは、この厄介ものの外来種「buckthorn」対策に乗り出し、ついに、「phenology (生物季節学)」を応用した「効果的かつ経済的な駆除法」にたどり着いた。

 その外来種には弱点があり、春と秋の季節の変わり目に、十分な日射量を取れないと、種子の発芽率が悪くなり、やがて森から消えてしまうことが分かったというのだ。

 これまで、北米の「woodlands (森林地帯)」は「birch (樺)」などの「deciduous species (落葉樹)」が多く、これが外来種の繁茂を助けていたようなもの。森の樹々を「evergreen species (常緑樹)」に替え、春、秋のシーズンにも密集した「林冠 (canopy)」を作って、「林床(forest floor)」に光が届かないようにさえすれば、恐ろしいインベーダーの息の根を止めることができるのだ。

 なお、Dr Schusterらの研究の詳細は科学雑誌「The Forest Ecology and Management Journal」に発表された。

 

おわりに:暗い森は、たしかに無気味。しかし、そうかと言って、広葉樹ばかりを茂らせると、森の生態系のバランスが崩れ、外来種の思うツボに、はまってしまう。浅はかな人間が、かってに自然を弄(いじ)くると、碌(ろく)なことがない。   

             (写真は添付のBBC Newsから引用)

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