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「お多福」面がもたらすのは:「福」それとも「邪気」? (BBC-Health, May 25, 2019)

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 「お多福」面は縁起物として、かって縁日の露店で売られていた。あの、ほっぺたがふっくらとして、目の細い女の顔には独特の愛嬌が漂う。

 その名前のついた病気に「おたふく風邪 (mumps)」がある。UKでは1988年、3種混合ワクチン (MMR vaccine)が導入された。しかし、それまでは、学童期の子どもの10人に8人は、この「viral diseases (ウイルス性疾患)」に罹っていたという。
 MMRワクチンが普及したお陰で、「おたふく風邪」は、一旦、下火になったが、2005年には、Englandと Walesで43,000人を超える感染者が出た。

 そして今年の2019年、再び、「mumps virus (ムンプス・ウイルス)」が猛威を振るい、感染者が急増している。
 注意が必要なのは、ティーン・エイジャーやヤング・アダルト層の若ものだ。MMRワクチンを打って、免疫力をつけるには遅すぎ、また、子どもの頃に打ったワクチンの効力が切れていることもある。さらに、国籍の異なる若ものが群れ集うことで、「mumps」の感染リスクが高まっている。

 「mumps virus (ムンプス・ウイルス)」は、唾(つば)、咳・クシャミの飛沫から感染し、大人が発症すると、重症化する。ほっぺたが腫れて、頭痛、発熱、耳の痛みに苦しむ。
 ほっぺたが腫れるのは、耳の前部に位置する「parotid glands (耳下腺)」に炎症が起こるためだ。口を開くのも、もどかしくなり、話したり、ものを食べたり飲んだりするのも辛(つら)くなる。炎症は、耳下腺(じかせん)にとどまらず、まれに次の部位に及ぶこともある。

・testes:睾丸
・pancreas:膵(すい)臓
・brain:脳
・ovaries:卵巣

 なお、英語の「mumps (おたふく風邪)」の語源は定かでないが、以下のいずれかとされる。
 
・Old English (古英語):grimace (しかめっ面) or sulk-mump (ふくれっ面)
・Icelandic (アイスランド語):mumpa (a mouth being filled too full
・Dutch (オランダ語):mmpelen (mumble: 口をもぐもぐさせて話す)

 紀元前5世紀の古代ギリシャの医学者Hippocrates (ヒポクラテス)は「耳が腫れる病気(swellings)」として、その症状を記録に残している。
 しかし、「お多福」が、イギリス人には「ぶっちょう面」に見えるなんて......。文化の違いがここにもある。
               (写真は添付のBBC Newsから引用)

www.bbc.com