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セクハラの実態:被害者を脅してだめなら、口止め、解雇か? (BBC-News, Feb 9, 2019)

https://ichef.bbci.co.uk/news/936/cpsprodpb/B4E9/production/_90731364_d8b9ea1c-28b1-4582-8bfd-88c4164bf9d3.jpg

 あなただったら、どうする? セクハラを受けた被害者として、あるいは、ハラスメント対策の責任者または企業・政府関係機関のトップとして。
 『このままでいいのか、それとも― (To be, or not to be.)』。その判断がむづかしいことは、よくあるに違いない。

 民主国家だ、法治国家だと言っては見たが、いつまで経っても、嘘つきに不心得者、心のねじけた人間、責任を回避することだけに専念する指導者がこの世に蔓延 (はびこ)り、そのお陰で、たくさんの真っ正直な人が泣きを見るはめに置かれているのも事実。

 セクハラ (sexual harassment)等のハランスメント対策については、卑劣な加害者に限らず、その機関トップの「humanity (人間愛、慈愛)」が問われる。これに欠けた人間には、「何が悪いことなのか」、「何を優先べきか」を的確に判断することはできない。

 UKでは、2010年「The Equality Act 2010 (平等法2010)」が制定され、セクハラも「性差別 (sex discrimination)」として扱われることになった。それから8年が経過した。
 「BBC Wales」は、2016年、Walesの政府・公共機関89ヶ所に対し、『セクハラ行為と「non-disclosure agreement (秘密保持契約NDAs)」』に関する質問状を送り、セクハラの実態調査を行なった。

 このBBC Walesの調査で明らかになったことは、以下のとおり。

・調査の回答に応じた機関:81 (回答率91%)
・セクハラの訴え件数  :84件(総計)
・セクハラを訴えて解雇に追い込まれた人:16人(被害者の19%)
・セクハラ行為で懲戒処分を受けた人 :52名(
・セクハラの被害者に占める女性の割合:3/4
・被害者に秘密保持契約を求めることに反対:政府関係機関の10%
・セクハラ対策に秘密保持契約を含めない:政府関係機関の44%
・「Merthyr Tydfil (マーサー・ティドフィル)」市議会、「Pembrokeshire (ペンブロックシャー)」州議会は、セクハラ被害者の女性を口止めするために、女性と「「non-disclosure agreement (秘密保持契約NDAs)」」を結び、それぞれ£8,000 (約113万円)を支払っていた。

 「The Welsh Women's Aid」の広報担当者はこれを非難し、『セクハラ被害者の口止めのために、公金を使うなどとは憂慮すべき事態だ』。

・なお、セクハラに関する情報開示を拒否した政府関係機関は、次の8機関。

Cardiff University:カーディフ大学
The Public Services Ombudsman:公共サービス・オンブズマン
The Wales office:ウェールズ
The Ministry of Justice:法務省
The Ministry of Defense:国防省
The Home Office:内務省
The Department of Work and Pensions:労働年金省
The Department for Business, Energy and Industry Strategy:ビジネス・エネルギー・産業戦略省

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さて、Rachel (レイチェル)は仮の名前。そのRachelがWalesのある大学に勤務中に、上司からセクハラを受けた。職場は男社会、周りの人は親しげであったが、女性の体に触りたがり (tactile)、また、その態度は横柄 (patronising)だった。
セクハラ被害を訴え出ると、「もう大人だから」とか「ピリピリし過ぎ」とか、他にも、散々に「性差別の言葉 (sexism comments)」を浴びた。そして、後に、大学の「役員室(boardroom)」に呼び出されて、セクハラとはまったく違う仕事の件を持ち出されては、逆にRachelが非難された。「この大学では、あなたは、もういらない」とまで言われた。

 このときの、大学幹部との会話をRachelはテープレコーダーに納めた。しかし、結局、£40,000 (約564万円)の見返りに「non-disclosure agreement (秘密保持契約NDAs)」を結ばされ、大学を解雇 (追い出)された。
 Rachelはシングル・マザー。「仕事を失うのが怖かった。誰にも相談できず、本当につらかった」と述べる。

 公共サービス・ユニオンの「The Unison」が実施した最近の調査によると、政府・公共機関に勤務する労働者の60%が、職場でセクハラを受けるか、これを目撃した経験があると回答したという。
 女性職員が職場でセクハラ被害を受け、その仕事を軽視され、実名で呼ばれることがなく、昇進は後回し。さらに、「夫に従え」だの、「仕事をよく知っている同僚の男の話を良く聞け」などと、勝手なことを言われる。
 そして、一旦、セクハラ被害の訴えを受けると、「non-disclosure agreement (秘密保持契約NDAs)」で隠蔽しようとする。

 この政府関係機関の姿勢を「Welsh Women's Aid」の広報担当者は非難する。
 秘密保持契約NDAsの制度は、元もと、企業秘密を守るためにつくられたもの。それがセクハラ被害者の口止めに使われると、「perpetrator's behaviour (加害者の卑劣な行為)」が、「unacknowledged (人知れず)」、「unchallenged (まかり通り)」、「unpunished (お咎めなし)」になってしまうと。
                   (写真は添付のBBC Newsから引用)

www.bbc.com