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一生の間の突然変異発生数:マウス、ライオン、ヒトはみな同じ! (BBC-Health, Apr 13, 2022)

Man and dog

 哺乳動物は、この世に生まれると、細胞分裂を繰り返して成長する。しかし、やがて、その分裂回数がヒト体細胞においては約50回 (Hayclick limit [ヘイクリック限界])に達すると、老化 (ageing)が始まる。

 

 ところが、「The Wellcome Sanger Institute (ウェルカム・サンジャー研究所)」の Dr Alex Caganらの研究グループは、これとは全く違った観点から生命体の老化 (ageing)、寿命 (lifespan)を捉えることに成功した。(研究の詳細は「Nature」に発表。)

 

 Dr Caganらが注目したのは、体細胞が分裂する際に発生するDNAのコピーミスすなわち「mutations (突然変異)」だった。

 哺乳動物 16種の突然変異の発生率(回/年)の結果は驚くべきもの (staggering)だった。以下はその一例。

 

・mice: 800 (mutations a year)

・dogs: 249

・lions: 160

・giraffs: 99

・Humans: 47

 

 つまり、動物の種によって体細胞に発生する突然変異の発生数が違う。ヒトの突然変異回数は 1年間で平均 47回と、他の動物に比べて少ないように見える。けれども、哺乳動物がその一生を終えるまでに、体細胞で起きた突然変異の総数は、動物の種に関わらず、ほとんど同じ回数の約 3200だった。Tiger

 この結果によると、哺乳類の寿命は突然変異の発生と、その「a critical number of mutations (突然変異 限界値)」に支配されていることになる。

 

 もちろん、ヒトの寿命は、体細胞の突然変異が原因のガン (cancer)の他にも、

 

・telomere shortening:染色体末端部のテロメアの短縮

・epigenetic changes:エピジェネティック変異(遺伝子の情報伝達異常)

 

に深く関わっている。

 

 しかし、とにかく、突然変異が寿命を左右しているのなら、その突然変異の発生を遅らせるか、あるいは、変異したガン細胞 (tumours)を修復することができれば、寿命が伸びることになる。

 一方、体細胞が多ければ、統計学的にはガンの発症リスクが高まり、寿命が短くなるはずだ。

 ところで、クジラの体細胞はヒトの体細胞 (約37兆)の数倍。それなのに、クジラの仲間には200歳まで生きる種がいる。これが「Peto's paradox (ピートのパラドックス)」だ。よく調べると、クジラの長寿の秘密は、その特殊なガン抑制遺伝子にあることがわかっている。

 なお、地球上の脊椎動物 (vertebrage)で最長の長寿を誇るのは、「Greenland shark (ニシオンデンザメ)」だ。400歳を超えて生きるという。

 

おわりに:仮に突然変異の発生率を1/2に減らすことができたなら、ヒトの寿命は2倍に伸びることになる。しかし、それがヒト属「Homo」にとって幸せなことかは別問題だ。寿命の長い人間よりも、嘘をつかず、ヒトを殺さず、平和を尊ぶ人間の登場が待たれる。

                 (写真は添付のBBC-Newから引用)

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