カバ語を知らないとカバでなし:その優れたコミュニケーション力! (BBC-Science, Jan 24, 2022)
動物語 (animal language)を話せたら、どんなにすばらしいだろう。Hugh J. Lofting (ヒュー・ロフティング [1886-1947])は、動物語を巧みに話す「Dr Dolittle (ドリトル先生)」を世に送った。
さて、フランスの Université Jean Monnet Saint-Etienne (ジャン・モネ大学)の Nicolas Mathevon教授らは、実際に動物語を研究中。その研究対象は「leopard (ヒョウ)」から「hyenas (ハイエナ)」まで色々。なかでも、科学雑誌「Current Biology」に発表した論文はユニークだ。
Mathevon教授らはカバ (hippos)の鳴き声に注目した。そこで、モザンビークの「The Maputo Special Reserve (マプト特別保護区)」に出向いて、カバのさまざまな鳴き声をテープに録音し、これを分析した。
すると、カバの鳴き声には
・grunts:ブーブー (ブタの鳴き声に似る)
・bellows:大声で吠える
・squeals:かん高く叫ぶ
・wheeze-honks:グググ、ゼゼゼーの喘鳴音 (トノサマガエルの鳴き声に似る)
などと、バラエティに富んでいることが分かった。
どうやら、カバは群れの仲間の一頭一頭を、鳴き声の違いで聞き分けているようだ。聞き慣れない鳴き声を耳にするものなら、それは「よそ者」の侵入した証拠。直ちに、大声で叫び立てて敵 (foe)をめがけて猛烈に突進し、縄張りの守りに入る。
Mathevon教授によると、カバの生態と行動形態を知ることは、人間と動物の衝突(human-animal conflicts)を回避するためにも欠かせないという。
カバは絶滅危惧種ではないが、急速にその個体数を減少させている。野生のカバはおとなしい動物だ。けれども、子どもを守る本能が極めて強いことで知られる。毎年、カバに襲われて命を失う人が数百人ともいわれる。
おわりに:のんびりカバくんは菜食主義者。ほとんどの野生動物がそうであるように、縄張りを邪魔されず、子どもに近寄らない限り、あえて戦いを挑むことはないのだ。駆け引き、詐欺、ごまかしに明け暮れ、戦い好きの人間とは違うのだ。
(写真は添付のBBC Newsから引用)