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人類は進化せず、知徳に欠けた生物:やっぱり解決できない気候変動! (RTE-News, Nov 4, 2021)

Sunset on the Bale Mountains in Ethiopia. Archaeological sites show humans lived at such high altitudes in resource-poor glaciated landscapes by hunting giant-mole rats. Photo: Martin Zwick/REDA&CO/Universal Images Group via Getty Images

 気候変動を抑え込もうと、この11月はじめ、各国の首脳陣が UKの Glasgowに集まった。ところが、案の定、当初、掲げられた目標も、高邁な理念もどんどん矮小化され、基本的かつ重要な気候変動対策は、会議が進行するにつれて、骨抜きにされて行った。

 確かに気候変動は、中国武漢で発生したコロナウイルスと同様、人類にとって最も憂慮すべき喫緊(きっきん)の課題だ。

 

 しかし、人類史上、気候変動は今に始まったことではなかった。

 現代人 (modern humans)と解剖学的におなじ人類「Homo sapiens」がアフリカ大陸に現われたのは、今から約 30万年前− 20万年前のことだ。その後、ヒト科ヒト族「Homo」は、ほぞぼそと「hunter-gatherer (狩猟採集民)」として命を繋いだ。

 その中で現代人の先祖は、少なくとも二度の、厳寒で過酷な氷河期に見まわれる。それは、今の気候変動とは比べものにならない衝撃的かつほとんど果てしなく続くかと思われる寒冷期だった。アフリカ大陸低地帯の沼、池、湖は干上がるか凍りつき、食料となる動物・植物も激減した。

 

 およそ400万年前、直立二足歩行を始めた人類の中で、絶滅しなかったのは「Homo sapiens」だけだった。北京原人ネアンデルタール人もみな絶滅した。

 

 では、なぜ、最悪の気候変動の氷河期にあって、現代人の先祖は絶滅しなかったか。University College Cork (アイルランド国立大学コーク校 UCC)の考古学研究者

Dr Peter Grriffith & Dr Ben Gearyによると、その秘訣は次の 4点にある。

 

・ability to generalaise:食料の普遍化

・strategy and craffted stone tools:精巧な石器と戦術を駆使した狩り

・ability to specialise:不慣れな土地に特化する能力

・co-opreation:協同 (相互扶助)

 

1.一つのことにこだわらない順応力

 寒冷化が進んで、食料の確保が困難を極めるようになると、先祖は移動を繰り返し、口にできる植物や魚・貝類などを探し当てると、なんでも食べた。この食料の普遍化(generalisation)が、「Homo sapiens」の命を救うことになる。

 

2.精巧な石器と戦術を駆使した狩り

 石器の発明とその加工技術は、狩猟社会にとんでもない大革命をもたらしたに違いない。優れた武器を持ち、仲間と戦術を立てて狩りに当たるようになったのだ。この石器を持つものと持たないものとの間には、生存上の利便性において、格段の違いがあったはずだ。

3.不慣れな土地に特化する能力

 「Homo sapiens」は、ネアンデルタール人のように、居住地にこだわることはなかった。アフリカ大陸の各地に分散して行ったのだ。

 約16万年前、一部のホモ・サピエンスのグループは、南アフリカ海岸にたどり着き、オメガ3脂肪酸の豊富な「shellfish (甲殻類、貝類)」を食べて生き残りを図った。

 また、考古学的な調査によると、約 5万年前、他のグループが、荒涼としたエチオピアの高地「Bale Mountatins (ベール山脈)」に住み着いて、「giant-mole rats (ジャイアントモール・ラット)」を食べて生き延びたことが分かっている。

4.協同と相互扶助

 狩猟採集社会を形成する異なるグループ間で、協同 (co-operation)と相互扶助の交流があったことが知られている。

 約 6万年前、アフリカ内陸部低地に住むグループが、そこから約1,000kmも離れたアフリカ南部の高地「Lesotho (レソト)」のグループに、ダチョウの卵の殻で作ったビーズを「友好のあかし」としてプレゼントしていたことが分かっている。

 2つのグループは遠く離れていても、困ったときに助け合い、支え合う絆で結ばれていたのだ。

 

 さて、現代人は、この祖先の「生き残りの秘訣」から何を学ぶべきだろう。温暖化をくい止めるためには「革新的な技術開発が必要だ」、いや「それよりも資金が必要だ」などと、口先だけの論議に終始したところで拉致があかない。

 もっと大事なことは、気候変動に立ち向かう国際社会の強固な団結 (strong social  cohesion)だ。イデオロギー・宗教の対立、西側自由主義圏と東側共産主義圏の争いは、地球の弱体化、生態系の破壊を加速させるだけだ。

 

おわりに:進化 (evolution)とは、文明 (civilization)とは、いったい何だったのだろう。偶然に手にした力・権力あるいは狡猾に手にした力・権力で弱いもの (他人、民衆、民族、国家)を恫喝しては いじめ、蹴落とす現代人。数万年前の先祖が、その現代人の「behaviour (ふるまい)」を見て、『立派に進化したものだ』とは決っして言わないだろう。ただ、あきれるばかりか。

             (写真は添付のRTE Newsから引用)

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